シンガポールの終了許可、もう一回確認しましょう、EP要件!

労務

徐々に自国民を保護する向きを強めているシンガポール、他国では就労ビザに当たる就労許可(Work Pass)の取得に悩まされている方も多いのではないでしょうか。

今回は、就労許可にまつわるご質問の中から、多く寄せられるものをまとめてご紹介します。

給与の条件、結局いくら?

標準的給与水準も実は日本より高いことが多いシンガポールですが、就労許可、特に専門家向けに発行されるEP(Employment Pass)で働こうとする従業員に対しては、さらに高額な給与を支払うことになりがちです。

最低S$3,600と定められるEPの条件は、年齢によって大幅に変わり、大学卒業から数年たつだけでも、既にS$4,000近い給与が求められるようになってしまいます。

基本的は自己診断ツール(Self-Assessment Tools:SAT)と呼ばれる公開サイトで情報を入力してテストすることで確かめることができますが、概ね以下のような給与帯が目安となります

  • 30歳でS$4,700程度
  • 35歳でS$5,400程度
  • 40歳でS$5,900程度

学歴が影響するって本当なの?

シンガポールは強烈な学歴社会であり、国民だけでなく、シンガポールで働く外国人にも、就労許可申請に際して高学歴の人材を優遇するという形で、明確な態度を示しています。

これは、単純に高校卒業レベルなのか、大学を卒業しているのか、大学院を出ているのか、というものではなく、具体的にどの国のどの大学のどの専門課程を修了したのか、という点で見るものです。

EP申請サイトEP Onlineや上述のSATなどでも、各国の高等教育機関を探しだすことができます。

大学が有名であれば上記の給与帯で可否が検討されますが、無名の場合はそれだけで足切り条件とすることは難しいため、上記の給与水準に全部+1.000を加えた数が最低給与水準とされます。

40歳で無名大学卒業であれば、S$6,900が最低ラインとなります。

シンガポール人が何人いたらいいの?

シンガポールで働く外国人の割合を40%から35%まで引き下げよう、という政策が発表されたのは、2019年のことです。

それからは、就労許可をもって働く人々の会社に占める割合がこの比率を上回っている企業から、「次はもうEP申請はできないのか」「EPの更新もできなくなるのではないか」という質問が多数寄せられるようになりました。

実はこの外国人の割合、一般にはクオータと呼ばれていて、中級専門職としてS-Passで働く外国人や、肉体労働者としてWork Permitで働く外国人にのみ関わる数字となっています。

つまり、事業の管理者として働くべきEP保持者については、その数も外国企業の数程度で収まるため、クオータには含まれていません。

しかし、だからと言って無制限にEPを発行できるわけではなく、概ねローカル従業員5人あたり1人程度、管理者としてEP保持者がいてもいい、という考え方であるため、3人目のEP発行などの場合には、組織図を作成して提出するよう求められることもあります。

EP保持者=雇用者?

もう一つ、少し異なる観点から寄せられる質問があります。

それは、EPを取得してシンガポールで働く外国人は、管理職として働くことになるから、雇用者(=Employer)として扱われるのではないか、という質問です。

これは、例えば「従業員(=Employee)の数が10人以上の企業はEP申請時に同条件でシンガポールのローカル人材がいないか公募しなければならない」という条件があるような場合に関わってくる問題ですが、案外どこからがEmployerと呼べるのか、はっきりわからないという方も多いことでしょう。

実は、MOMにおける雇用者の定義は極めて狭く、事業の主体として、株主のようなオーナーを除いては、基本的にすべて従業員である、という考え方が一般的なのです。

従って、オーナー社長がEPを取得するのでない限り、EPで働いている外国人は全部従業員として数えられる、ということになります。

人事異動なら簡単って本当?

こちらもあまり知られていないことですが、現在シンガポールで働いている方が、別の方と交代になる場合に関しては、EP申請時に求められる条件の中、同様の職位でローカル人材を公募しなければならないという要件が、緩和されることになっています。

これには、新しくシンガポール勤務になる方が、シンガポール法人の関係会社で既に1年以上勤務していることが必要です。

また、シンガポールでの勤務が3年まで(延長すれば最大5年)であることが、条件として求められます。

さらに、会社としてもシンガポール法人の組織図、またはその計画を資料として提出する必要がありますが、これにより世界貿易機関WTOが規定する「転勤(Intra-Corporate Transfer)」に当たると証明できれば、公募を行う手間が省けます。

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株式会社東京コンサルティングファーム  シンガポール法人
近藤貴政

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