シンガポールのペーパーレス運動!?税務申告から!

国を挙げてIT人材を育成し、政府官庁がそれぞれ人材を確保、ホームページの合理化にも余念のないシンガポールでは、今ペーパーレス化が進行しています。

特にユーザーフレンドリーなホームページと問い合わせ対応で名高いシンガポールの税務署IRAS(内国歳入省Inland Revenue Authority of Singapore)は、直接に金銭とかかわる税務の処理を行う役所であるだけに、これまではすべての書類を原本で提出するよう求めていました。

反対に通知を行う際も、原則登記住所に郵便で紙面を発送するというやり方で各企業とやり取りを行う形になっており、時間はかかっても最後は書類で片をつけるという特徴がありました。

しかし、このIRASも時代の変化を追いかけ、ついにペーパーレスの申告を導入しつつあります。

今回はそんなシンガポールのペーパーレス化最前線、税務申告の変更点をお伝えします。

申告するのはどんな税金?

まずは基本的なところから確認していきましょう。

一般にシンガポールで活動する企業が、IRASに納税の義務があるのは以下の4つの税金です。
・法人所得税
・個人所得税(厳密には個人に属するが、ペーパーレスに関わるため中に含める)
・源泉徴収税(WHT:Withholding Tax、ローンの利息など、海外への支払いがある企業に限る)
・GST(Goods and Services Tax、登録している企業に限る)

このうち、源泉徴収税とGSTは、主に会計法人が申告金額を割り出し、それぞれIR37、Form 5という申告フォームに入力を行って電子申告を行うことが一般化しています。

従前は企業のUENがあればEASYというポータルサイトを通して申告が可能でしたが、2018年9月1日からは、企業ごとのCorpPassによって、承認権限を付与された者(Authorised Approver)だけが申告を実行できることになりました。
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法人所得税、申告が2回も?

申告期間が長いことで知られるシンガポールの法人所得税は、会計年度末が属する年の翌年11月末までにForm Cと呼ばれる書式で課税所得を申告し、納税通知(NOA:Notice of Assessment)を受け取って書かれた金額を納付することになっています。
例えば、2018年の12月31日に年度末を迎える企業は、翌年2019年11月30日が申告期限ですが、2019年1月31日に年度末を迎える企業は、翌年2020年の11月30日に申告期限を迎えます。

申告はIRASのポータルサイト、MyTax Portalの、Business Tax MattersにCorpPassでログインして行います。

申告は課税所得がなんであるのか理解している人こそが実行できる内容であり、一般的にはまだ税務専門家を使って申告を行う方が一般的です。

なお、来年会計年度末を迎える企業の法人所得税は、2020年に申告を行うことになりますが、これをYA2020(Year of Assessment 2020)と呼びます。

このYA2020までに、すべての会社は電子申告で法人所得税の申告を行うことが義務付けられることがIRASのホームページで報じられています。

また、同様に確定前見積もり申告であるECI(Estimated Chargeable Income)の電子申告が義務付けられます。

これは会計年度末から3か月以内に仮で申告を行って実際に税額を納付し、そこから監査などを経て翌年の本申告を迎え、修正があれば修正した内容で申告したところから追加納税/還付を受ける制度です。
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個人所得税、AISで会社がまとめてできちゃいます!

駐在員となると、出向元で支給される給与や手当があって、何かとややこしくなりがちな個人所得税ですが、申告期間は法人所得税と全く違い、たった3か月しか与えられません。

日本の所得税と考え方はよく似ていますが、ポイントは居住者非居住者の別があるということです。
非居住者のレートは一律15%(または居住者レート適用の上、どちらか高い方)とされていますが、居住者のレートは累進になっており、0%~22%の税率が適用されます。

一方、個人所得税の課税所得は暦で計算されるため、シンガポールの勤務が始まったばかりという人であれば、12月31日までの所得がほとんどなく、居住者レートであれば納税額がゼロという人もいることでしょう。

どの場合でも、課税所得をIR8Aという専用フォームに記載し、署名をもって原本提出、NOAを受け取って納付、という流れになっていました。

ところが、今はこのIR8AをWordで編集して打ち出したり、手書きで記載して提出する、ということがほとんどなくなりました。

なぜなら、給与計算ソフトが発達し、過去の給与計算が間違っていなければ、狂いなく記載されたIR8Aが自動で発行されるようになってきたからです。

申告自体は上記MyTax PortalのPersonal Tax Mattersを選択することで電子申告をすることができ、特にシンガポール国籍/永住権保持者に関しては、何社会社を変えているか、掛け持ちしているかにかかわらず、自分の所得を自分で管理して申告を行う場合が多いようです。

一方、従業員がIR8Aを記載したり、自ら電子申告を行う手間を省く形で、企業側がまとめて給与金額を申告し、一括個人所得税申告を完了させてしまう、AIS(Auto-Inclusion Scheme)という便利サービスも一般化してきました。

いずれの場合も、2019年からは会社が従業員がIR8Aを3月1日までに入手できるように手配する義務が会社に課せられます。

つまり、年末から2か月の間に給与所得をまとめ上げ、全員分の個人所得税の課税所得計算を行う必要があるということです。
(…もしかしてやばいかも、と感じた方は、即座にお電話ください⇒TCF:+65-6954-9457)

以上、シンガポールの税務事情についてお伝えしました。
IRASは、どんな会社でも簡単に税務申告が行えるよう、徐々に整備していっていることがわかります。振り回されず、要点をつかんで正しく納税できるよう、理解を深めていきましょう。

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