シンガポールにもあるの?固定資産税をチェック!

税務

シンガポールでビジネスをしている人々が固定資産という言葉を聞けば、通常思いつくのは減価償却が必要な会社の資産でしょう。

しかし、シンガポールに市民権、永住権などを持って生活し、不動産を購入している人々にとっては、固定資産(Property)と言えば、フラットです。

そして、すべての固定資産には税金が課せられるというのが、日本に学んだシンガポールの税制でもあります。

今回は、シンガポールの税制について理解を深めたい方のために、シンガポールの固定資産税についてお伝えします。

固定資産税の概要

シンガポールの固定資産税(Property Tax)は、主に不動産などの固定資産を所有するオーナーに対して課せられる税金です。

年に一度、12月の末に請求を受け、1月末までに支払うこととされています。

これは、固定資産として物件を所有していることに対する課税であるため、家賃収入などに課せられる個人所得税とは異なり、所有している物件が貸し出されていてもいなくても、一律課せられるという点に注意が必要です。

金額はどう決まる?

シンガポールの固定資産、すなわち不動産は、その家賃が政府機関により算定されます。

年次価値(Annual Value)と呼ばれるこの家賃価格は、個人所得税申告時、課税所得を計算する際にも用いられることがあり、一般に検索が可能な形で公開されています。

当局検索サイト(有料):https://mytax.iras.gov.sg/ESVWEB/default.aspx?target=PTEVLListIntro

固定資産税の金額はこのAnnual Valueにその年の固定資産税率を掛け合わせて計算されます。

固定資産税額=年次価値(Annual Value)×固定資産税率(Tax Rate)

税率は二つある?

一般の固定資産税の税率は、2020年現在10%です。通常はAnnual Valueより家賃収入の方が大きくなりますが、概ねその家賃の一か月分が徴収されるような税率です。

一方、シンガポール政府は国民が住宅開発庁(HDB)の運営する公営住宅を購入することを奨励しており、そのHDB住宅も購入すれば個人の所有物となり、固定資産税の対象となりますが、その税率は軽減されます。

HDB住宅の軽減税率ことオーナー居住者税率(Owner-Occupier Tax Rates)は物件の所有者が当該物件に居住している場合にのみ適用されます。個人が2件以上の物件を所有する場合、当該個人が居住地として指定する片方のみに軽減税率が適用されることになります。

なお、実はHDB住宅のオーナー居住者税率は必ずしも「軽減税率」とは呼べず、累進課税で最高税率は16%にも達しますが、最高税率の適用されるAnnual Valueであっても合計納税額は7~8%となるものがほとんどであるため、基本的には軽減税率と呼ぶことができます。

どちらの年に対する課税なの?

年間に支払う固定資産税は、一年分を前払い形で課せられます。

具体的には、翌年一年分の納税金額が12月末までに通知され、それを元に翌年1月中に支払いをするというのが原則です。

ただし、支払い方法が銀行振り込みからGIRO自動引き落としなど複数用意されていることに加え、一括支払いだけでなく12か月の分割納付が用意されているため、1月中にすべての固定資産税が支払われるとは限りません。

これにより、固定資産の売買が行われる際には固定資産税の支払い残額がないかどうか、確認が必要になります。

以上、細かい手続きについては不動産の売買に関する弁護士や仲介業者の指示に従うことになりますが、シンガポールの固定資産には上記のような固定資産税がついて回るということを、原則論として理解しておくといいでしょう。

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