フィリピンの税金還付手続きとは?!

税務

こんにちは
Tokyo Consulting Firm Philippine Branchの大橋 聖也です。

 

【1分でわかるフィリピン進出のイロハ】

No.89< フィリピンの税金還付手続きとは?!>

 

今回は「VATとCWTの還付手続き」についてです。
フィリピンでは、税金還付の対象となる主な税金が、2つあります。

 

一つは、フィリピン国内での取引や輸入時に課税された12%のInput VATと、もう一つは、オフィス賃料や専門家報酬等に課税された源泉税に対するCWT(Creditable Withholding Tax)の還付になります。
*CWT:源泉徴収義務者(サービスを受けた側)が代金支払い時に前払税金としてBIRに支払った税金で、法人税額計算時に控除可能な税金。

 

フィリピンでは、制度上は上記2つの税金に対する還付手続きは認められていますが、実務上は、以下の観点から、還付手続きをしていないケースが多い状況にあります。

  • Input VATとCWT共に、将来のOutput VATと法人税額との相殺が“無期限”で繰越できること
  • 還付申請手続きの処理が煩雑かつ不透明で長期化しており、多くの案件が保留とされている
  • 明確な理由がわからない状態で、還付金額が減額又は否認されるケースも多々あること
  • 還付申請の際に税務調査が入り、税務調査への対応費用や、税務裁判所への控訴へと発展するなどの追加コストが多額に発生すること

しかし、2018年の税制改正以降は、政府主導でBIRの税金還付システムの改善を目指す動きが見られます。

 

例えば、直近のBIR通達(RMO No.25-2019)では、従前の120日から90日間へと短縮された新しいVAT還付制度における具体的な還付手続のスケジュールやBIRの所管部署について規定されています。
当該VAT還付手続は、75日間の申請内容の検証・承認期間、15日間の還付実施の処理期間で構成されています。

また、申請内容の検証・承認は納税者の属性により3パターン、還付実施の処理はBIR本庁又は地方税務局による2パターンに分かれます。

上記のBIR通達を基に、現在保留となっている還付申請や通達と実務の乖離に対するBIRの動向を踏まえて、企業側は、還付又は繰越という判断が求められていきます。

 

最後に、2017年9月に弊社フィリピン本の第2版が、出版されました。

フィリピンへの進出実務を最新の情報にアップデートすると共に、弊社フィリピン拠点における6年間のコンサルティング実務の経験を盛り込んでまとめ直したものとなります。
中でも本著はフィリピンの基本的な投資環境から、設立法務、会計税務、人事労務、M&Aに至るまでフィリピンでのビジネス展開に必須な情報を網羅的に収録していますので、是非、本屋又は弊社宛にお問合せ頂き、手に取っていただけますと幸いです。

 

今週もどうぞよろしくお願い致します。

 

Tokyo Consulting Firm – Philippine Branch
大橋 聖也

2012年、東京コンサルティンググループに入社。中小企業の発展、会計業界の生き残りを掛けて、社外CFOとして社長のビジョン実現をサポートする、ビジョナリーコンサルティングを立上げに奮闘。社長の抱えるお困り事解決すべく経営理念の策定・経営会議のファシリテート・財務分析等の支援を行う。2016年10月より、フィリピン支店の拠点長として世界に活躍のフィールドを拡げ、真の顧客貢献を目指す。

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