CORTT 2(租税条約申請の簡素化)

税務

こんにちは、フィリピン駐在員の大橋です。

 

今週のブログは、CORTT②(租税条約申請の簡素化)ついてお伝えします。

前回に続き、CORTTの申請時期や注意点をまとめていきたいと思います。

 

■申請時期 

· 所得受領者である非居住者等(例:日本の親会社)は、関連する所得が支払われる前(或いは所得支払者が未払計上を行う前)に、所得支払者に対して記入の完了したCORTTを提出する必要がある。

 

· 所得支払者(源泉徴収義務者)は、最終源泉税支払後30日以内に非居住者等から受領したCORTTをBIR本庁のITADとRDO No.39(ケソン市にある非居住者等の情報を管轄する税務署)にそれぞれ提出する必要がある。

 

■有効期間

· 配当に関して、CORTTはその発行日から2年間有効。但し、条約相手国おける所定の居住者証明が使用される場合、当該証明書の有効期間が2年に優先するとされています。

なお、2年の有効期間の間に別の配当を行う場合、所得支払者はアップデートしたCORTTのPART Ⅱを最終源泉税の支払後30日以内にITADとRDO No.39に再度提出する必要があるとされています。

 

·一方、利子とロイヤルティに関しては、CORTTは契約書ごとに必要になります。

但し、契約書上の取り決めにより「Staggered Payment(契約期間内における利払い額等が均等

でない支払)」が行われる場合、所得支払者は最終源泉税の支払後30日以内に、アップデートしたCORTTのPartⅡをITADとRDO39に提出する必要があります。

そのため、利払い条件等の取り決めによっては支払の都度CORTTのPart Ⅱの提出が必要となるため、その場合は非常に煩雑になります。

 

■注意事項

・CORTTフォームは原本である必要はあるが、条約相手国のフィリピン大使館等における認証手続は必要ない

 

・所得受領者(非居住者等)が当該国の税務当局所定のCORを使用する場合、CORはCORTTに添付してBIRの国際租税課(ITAD)及びRDO No.39(ケソン市にある非居住者等の情報を管轄する税務署)に提出することになるが、CORTTの原本は2部必要となるため、それに添付するCORも2部必要となる。

 

・BIRが納税者からCORTTを受領した際、受領確認の書面は発行されず、提出されたCORTTにはITADとRDO No.39から“Received”のスタンプが押され、所得支払者はそのReceiving Copyを保管する形となる。

 

・RMO No.8-2017のSection 6.1.によると、非居住者等は記入の完了したCORTTフォームを所得の支払時(Paid)或いは控除時(Credited)までに所得支払者に提出しなければならない。

一方、税法ルールにおける源泉のタイミングは、支払時、支払期日到来時、未払計上時のいずれか早い時点とされている。

ここで所得支払者が未払計上時に源泉を行っている場合、所得支払者の未払計上時までに提出する必要があり、提出されたCORTTフォームに基づき、所得支払者は軽減税率による源泉を行うことができる。

 

 

なお、非居住者等が所得支払者に対してCORTTフォームを提出しない場合、非居住者等は租税条約による恩典を求めていないと考えられるため、その場合は税法ルールに従い通常の最終

源泉税率(30%)が適用されます。

 

以上、所得支払者(源泉徴収義務者)はCORTTフォームをBIRに提出することにより、配当、利子、ロイヤルティに係る租税条約に基づく軽減税率を直ちに使用することができます。

 

ご参考までに、軽減税率の一覧となります。

 

配当:30%→10% or 15%

利子:20%→10%

ロイヤルティ:30%→10% or 15%

 

具体的なCORTTの取扱いや申請方法については、別途弊社宛にお問合せいただけますと幸いです。

 

今週も、どうぞよろしくお願い致します。

 

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