ASEAN成長率トップクラス!フィリピンとベトナムの法制度の違いとは?!Part.2

税務

こんにちは
Tokyo Consulting Firmの大橋 聖也です。

【1分でわかるフィリピン・ベトナム進出のイロハ】

No.92< ASEAN成長率トップクラス!フィリピンとベトナムの法制度の違いとは?!Part.2>

今回は、「固定資産と減価償却の計上方法」についてお届けします。

なぜ、フィリピンとベトナムなのかと言うと、ASEANでここ数年GDP成長率のトップに位置し、まさに東南アジアの中で最も急速に経済成長している国だからです。
*フィリピンは、6%前半。ベトナムは6%後半を推移。

日系企業の海外進出先としても、タイ・インドネシアのブームが落ち着き、豊富な労働力や比較的安い人件費をきっかけに製造拠点先として、また近年は日本で不足する人材確保や内需への事業拡大を狙ったフィリピンとベトナムへの進出がとても増えています。

 

加えて、米中貿易摩擦により中国からの製造・販売拠点を移管させるべく、新しいサプライヤーによる輸入代替又は中国の工場移転を検討している日系企業も多く、その候補地としてもフィリピンとベトナムを検討してる企業が多くあります。

そして、今後海外ビジネスを一拠点単体での点ではなく、ASEAN複数国の面による展開を進める企業も多く、フィリピン・ベトナムのどちらかではなく、両国に拠点を有する企業も増えていくことでしょう。

そんな中、私自身もフィリピンとベトナムを中心に日系企業の海外進出をサポートしておりますので、現地での実務経験を活かして、両国の相違点・共通点をお伝え出来ればと思います。

 

<固定資産計上>

■フィリピンの場合

資産計上の数値基準は設けられておらず、有形固定資産の認識要件を満たすものは、原則的には金額の多寡に関わらず、以下の要件を満たす全て資産計上する必要がある。

  • 将来に経済的な便益が企業にもたらす可能性が高い
  • 取得原価を信頼性を持って測定できる

一方で、上記要件を満たす場合に全て資産計上するのは現実的でないため、実務上は各社の実態に合わせ、設立初期の段階で日本の少額減価償却資産における特例のような即時費用処理をする金額基準のポリシーを定めるケースが多い。

 

■ベトナムの場合

以下の要件に満たす場合は、資産として計上する。

  • 将来的に経済的な便益がもたらされる
  • 1年を超えて使用可能
  • 取得原価を独立して計算でき、3千万ドン以上
    *3千万ドン未満の資産である場合は、即時償却又は3年以内の償却による費用化が認められている。

 

<耐用年数>

■フィリピンの場合

資産の耐用年数は企業によって経済的に使用が見込まれると期待される見積期間として決定することでき、親会社での同資産における耐用年数や過去の実績などを根拠として決定するケースが多い。

 

■ベトナムの場合

財務省通達に新品の場合の耐用年数が、固定資産の種類ごとに細かく分類されており、最短と最長の年数が決まっている。
中古資産の場合は、以下の算式により決定する。

耐用年数=(中古資産の合理的価値×同種資産の新品の販売価格)×新品の耐用年数

 

<減価償却方法>

■フィリピンの場合

償却方法は企業側で実態にあった処理方法の決定が可能。

 

■ベトナムの場合

原則定額法であるが、定率法等も可能。設立後や償却処理前に税務署へ事前登録が必要。

  • 両国とも実務上は、ほとんど定額法が適用されている
  • フィリピンでは、一般的に日本の親会社の方針に準じた処理がされている
  • ベトナムでは、一旦登録した償却方法は、当該資産の使用期間中は継続適用

以上、固定資産と減価償却の計上に関するフィリピンとベトナムの比較になります。
今週もどうぞよろしくお願い致します。

 

Tokyo Consulting Firm – Philippine Branch
大橋 聖也

2012年、東京コンサルティンググループに入社。中小企業の発展、会計業界の生き残りを掛けて、社外CFOとして社長のビジョン実現をサポートする、ビジョナリーコンサルティングを立上げに奮闘。社長の抱えるお困り事解決すべく経営理念の策定・経営会議のファシリテート・財務分析等の支援を行う。2016年10月より、フィリピン支店の拠点長として世界に活躍のフィールドを拡げ、真の顧客貢献を目指す。

関連記事

ページ上部へ戻る