組織の成長とは生産性を上げること

こんにちは、
東京コンサルティングファームの大橋 聖也です。

​2016年よりフィリピンに赴任し、ASEAN拠点を中心に日系企業の海外ビジネスの支援をさせて頂いてます。

 

【1分でわかる海外子会社マネジメントのイロハ】

No.2<組織の成長とは生産性を上げること>

日系企業が海外進出する際、右肩上がりに経済成長する発展途上国では、安い人件費で、多くのモノを作って売ることが組織の成長と考えられ、「生産性」という概念が後回しにされることが多いのが実情です。

 

私は、組織の成長とは、売上拡大ではなく、生産性を上げるすることだと考えています。

と言うのも、ASEAN諸国ではよく海外進出のメリットとして、人件費が安いことが挙げられますが、進出後にほぼ全ての企業で、直面し顕在化している経営課題が、人件費の高騰による利益率の縮小だからです。

日本や中国と比べると人件費は格段に安いのですが、進出国での対前年比の上昇率でみると年5~10%アップが当たり前となっています。

 

単年度ベースでは、人件費アップのインパクトは大きくないため問題視しない企業も少なくないですが、毎年5%以上、かつ複利でコストが上がっていくとなると、中長期的に利益を圧迫していく要因であり、全ての海外子会社にとって”すでに起こった未来”の経営課題と言えます。

 

今後、海外子会社においては、人件費アップする以上に、どのように付加価値を増やしていくのか、つまり組織の生産性を上げていくかが重要なテーマになります。

冒頭のたくさん売るために、その分だけ人やモノを投資する発想では、生産性という概念はなく、組織の成長は実現できません。

 

生産性とは、成果物(アウトプット)とその成果物を獲得するための投入した資源量(インプット)の比率であり、アウトプット÷インプットで表します。

生産性を上げるには、インプットを少なくする(投入資源量を減らす)か、アウトプットを多くする(成果物を上げる)かの2つしかありません。

 

財務の指標でいえば、組織の生産性は人件費と粗利益の割合でみる労働生産性や労働分配率で判断できます。
時間の経過とともに、この労働生産性が下がってる場合は、企業はその分だけ利益を犠牲にしていることを意味します。

 

このような事態にならないよう、全ての企業は、生産性の観点から組織の成長を考えなければなりません。

労働生産性を高める上で、人材教育、特にミドルマネジメントを担う管理者の育成が重要になりますが、多くの企業では管理者不足という声をよく耳にします。

 

なぜ、管理者が育たないのでしょうか?

その一つの理由が、管理者を評価する基準が間違っているからです。

 

例えば、管理者の評価基準として、よく挙げられるのが成果主義です。

これは、どれだけ成果を出したのか、つまり成果の絶対量を評価することを意味します。
その結果、どれだけ長い時間や多くの人材を使って労働量を投入したとしても、成果量を増やしさえすれば良いとった短期的な思考に陥ってしまいます。

生産性の観点での評価基準では、成果の”量”ではなく、”質”で測ることができます。

 

管理者の仕事や働き方も長期的な視点から、少ないインプットで多くのアウトプットを生み出すため、社員教育や標準化といった仕組み作りを推進するようになります。

 

また、目標管理制度を導入する際に起きる一つの問題が、社員による目標設定が低くなってしまうという事です。

これは会社から年々、昨年より高い成果目標を立てろと一辺倒に求められるため、社員は「今年は少し抑え気味の目標にしておこう」と考え始めます。
そして、「頑張らなくても達成できる目標」を毎年小出しにする発想になり、目標を低めに立てた方が得する制度を生み出してしまうのです。

 

その結果、企業が事後的な調整を加えるペン舐めをするようになり、評点の価値が変動することで、社員は評価への不信感を持つようになります。
これでは、長期的に社員のモチベーションは上がらず、生産性を向上し、組織の成長へと繋げることはできません。

 

では、管理者育成による組織の生産性を向上させる、あるべき人事評価と何か。
こちらは次回、まとめていきたいと思います。

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Tokyo Consulting Firm – Philippine Branch
大橋 聖也

2012年、東京コンサルティンググループに入社。中小企業の発展、会計業界の生き残りを掛けて、社外CFOとして社長のビジョン実現をサポートする、ビジョナリーコンサルティングを立上げに奮闘。社長の抱えるお困り事解決すべく経営理念の策定・経営会議のファシリテート・財務分析等の支援を行う。2016年10月より、フィリピン支店の拠点長として世界に活躍のフィールドを拡げ、真の顧客貢献を目指す。

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