フィリピン労働法は、「与えればいい」ってものじゃない!?

労務

いつもお世話になっております。
東京コンサルティングファームの早川でございます。

フィリピンを含めた東南アジア諸国の労働法は、日本と比較して従業員を保護する役割が強い、というお話は、聞いたことのあるお話かと存じます。

「であれば、手厚い対応をしておけば、問題はないだろう」とお考えではありませんか?
例えば一人の社員と何らかの理由で揉めているとして、賞与やその他福利厚生を手厚くすることで解決しようとはしていませんでしょうか?

 

実はそのような行為は、将来的な労務リスクがあります。

確かに、労働法で求められる最低限の労働条件を守ってさえいれば、それ以上に社員にとって有益な条件を与えることは法律上問題ございません。
考えなければならないのは、「その好条件をずっと与え続けることができるか」ということです。

フィリピンでは「一度与えた従業員に有利な福利厚生や供給は、削減/中止/廃止ができない」というルールがあります。

これは、ある外資企業と社員間におきた労働裁判にて、2011年、2013年に最高裁が下した判決にて明確化されました。
その裁判では、認められない福利厚生の削減は以下の4つの条件すべてに当てはまった場合のことを指すとしています。

  1. その待遇/福利厚生が、会社方針に基づいている、または長期間にわたり慣習として成り立っていること
  2. その慣習が一貫しており、計画的であること
  3. 法律自体が協議すべき問題を抱えていて、その法律の構築・適用において誤りがあったがため発生した慣習ではないこと
  4. 雇用主により一方的に行われた削減/廃止であること

給与はもちろん、例えば全社員に与えている手当などは、すでに慣習化されておりかつ計画的であるため、会社側の判断で廃止することはできません。

また、定期的に(定額の)賞与を与えている場合、それが就業規則等に書面で決められていなくとも、慣習的である、ということで、急に廃止することが認められない可能性があるということです。

 

法律で求められていること以上の条件を与える際には、それが将来的にも継続できるものなのか検討しなければいけません。

また、新しく海外子会社管理を任された方は、就業規則や雇用契約上の書面で決まっていることだけでなく、慣習との差を明確にし、その差に対してどのような対処が適切なのかを検討する必要があります。

日本ではあまり考えられませんが、責任者の承認なく非正規の条件が実施され習慣になっているケースもございます。
承認したもの以外の条件が与えられていないかを管理することも求められます。

 

弊社ではそのような労務リスクレビューから、社員に適切な給与・賞与を与えるための人事制度の構築・運用までサポートさせていただいております。見直しの際はぜひご相談ください。


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東京コンサルティングファーム・マニラ拠点
早川 桃代

 

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