フィリピン事業の親会社からの前受金の処理

会計

こんにちは
Tokyo Consulting Firm Philippineの近石 侑基です。

 

駐在員事務所を除き、フィリピンで事業を行っている方には親会社から送金があり当該送金額を運転資金として事業を行っている方がいると思います。

特に、事業をスタートされた方は、フィリピンでの事業が軌道に乗るまではこのように対処される方がほとんどを占めるのではないでしょうか。
※駐在員事務所では売上が立たない為、親会社からの送金により事業を行わなければいけません。さらに、売上が立たない為、当該前受金を返金する必要もございません。

 

そのような企業が年度末の法定監査を受ける際に気をつけいて頂きたいことは、2020年より本格的に導入されることになった、移転価格に対する関連者間取引の情報の開示です。

これまでの法定監査では、監査人が当該関連者間取引に対してそれほど慎重なスタンスは取っていませんでしたが、今後はより一層慎重なスタンスを取って監査を行うこととなります。
例えば、今回のテーマである親会社からの前受金がその一例となります。

 

これまでは、法定監査などで期を跨いでも監査人や税務当局は、そこまで目を光らせることはありませんでしたが、本来であれば、親会社からの前受金は返金しなければいけない勘定科目となります。そのため、返金の目途が立っていない場合には、次のいずれかの対処が必要になります。

  • 当該前受金に対して金銭消費貸借契約書(Loan Agreement)を作成する
  • 当該前受金を払込資本金(Paid-up Capital)に算入する

 

このいずれの対処を取らず法定監査を迎えた場合、関連者間取引の情報の開示が適切に行えない為、税務当局より指摘を受けるリスクがあり、そのため当該監査報告書へ監査人が署名を行わないといったケースも考えられます。

また、上記2を選択した場合には、払込資本金額に算入する余裕があるのか判断するために、他の資本金(授権資本金と引受資本金)を事前に確認する必要があります。

特に、2019年の会社法改正で撤廃された25%規制(授権資本金の25%が引受資本金の上限、引受資本金の25%が払込資本金の上限)を受けて、引受資本金額と払込資本金額の上限を変更された方はお気を付け下さい。

 

今回の移転価格税制を受けて、これまで以上に厳格に会計上のルール遵守が求められます。
弊社では、上記内容だけでなく今回の移転価格税制を受けた適切なアドバイスもさせて頂けますので、もしご不安なことなどございましたら、お気軽にご連絡頂ければと思います。

 

今週もどうぞよろしくお願い致します。

弊社では、フィリピン進出から進出後の会計、税務、人事および労務まですべて対応しております。
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東京コンサルティングファーム フィリピン・セブ拠点
近石 侑基

TOKYO CONSULTING FIRM PHILIPPINE BRANCH

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