【フィリピン税制改革第二弾】税務インセンティブ

税務

皆さんこんにちは。
東京コンサルティングファーム、フィリピン・セブ支店の上原です。

先週に続き、本日もフィリピンにおける税制改革についてご紹介したいと思います。

 

②既存及び新規税務インセンティブに関して

CREATEでは、現行のPEZA企業が享受している特別税率、及び新しく採用される税務インセンティブ案に関しても記載がございます。
主に紹介したい項目は下記4つです。

  • PEZA企業特別税率
  • VAT
  • 関税
  • 地方税

 

・PEZA企業特別税率

CREATEでは、現行のPEZA企業が享受している特別税率、GIT(Gross Income Tax:通常の法人税30%の代わりに売上総利益に対して5%の課税)の移行期間が下記の通り延長されることが記載されています。

 

<既存インセンティブに対する措置>

  • (1) 5%GITを既に10年以上享受―移行期間4年
  • (2) 5%GITを5年以上10年未満享受―移行期間5年
  • (3) 5%GITの享受期間が 5 年未満―移行期間7年
  • (4)一定の条件(輸出割合等)を満たすプロジェクト―移行期間9年

前法案のCITIRAでは2~5年の移行期間でしたので、それぞれのケースに対して移行期間がやや緩和されていることが伺えます。
※尚、現行の税制では無期限

また、今後新規で優遇税制が適用される場合は、下記の内容となります。

 

<新規インセンティブに対する措置>

CREATEにおける法人所得税インセンティブでは、①(a)ITH(Income Tax Holiday:法人税免除)+(b)特別税率、または②(c)追加控除のどちらかを選択することが出来ると記載されています。

  • (a)地域と産業カテゴリーごとに2~4年のITH期間の付与
  • (b)特別税率:2021~ Gross Incomeに対して8%
    2022~ Gross Incomeに対して9%
    2023~ Gross Incomeに対して10%
  • (c)地域と産業カテゴリーごとに5~8年の追加控除(課税所得算出時)

※尚、(a)及び(c)は3~4年の延長可能期間あり

 

・VATインセンティブ

登録企業が「Ecozone」または「Freeport」内に立地し、直接かつ登録事業に限定して使用される物品およびサービスについては輸入VATが免除され、同様のケースでは国内輸入についてはVATゼロの取り扱いとなります。
上記からわかる通り、全法案CITIRと比較して輸出販売90%以上に関わる基準がCREATEでは言及されておらず、緩和傾向にあることが伺えます。

ただし、現法案CREATEではVATインセンティブを受けるための条件や準拠すべき内容及び既存プロジェクトに対する移行期間後のVATの取り扱いが言及されていない為、今後の政府発表に注意が必要になります。

 

・関税インセンティブ

資本財、原材料、スペアパーツ、付属品で、直接かつ登録事業に限定して使用されるものの輸入関税は免除となります。
VATインセンティブと同様に、既存プロジェクトの移行期間後の関税の取り扱いが法案では明確ではない為、今後の政府発表に注意が必要になります。

 

・地方税インセンティブ

SIPP(Strategic Investment Priority Plan:戦略的投資優先計画)に基づく新規登録事業について、オプションとして次の2つが考えられ、それぞれのオプションを選ばれた場合の地方税の取り扱いも下記の通りとなります。

 

オプション1.ITHとSCITを適用する場合:

特別税率を適用する期間における特別税率(総所得の8%~10%)は全ての国税・地方税に代わるとされているため、この期間において地方税(地方事業税・固定資産税)を納める必要はございません。

 

オプション2.ITHと登録済みの追加控除を適用する場合:

登録企業が「追加控除」のオプションを選択した場合の地方税の取り扱いが明記されていない為、今後新たに審議され、追加明記されるものと考えております。
(注)SIPPに該当するアクティビティについて、「法人税免除期間(ITH)+特別税率(SCIT)」あるいは「追加控除」インセンティブのいずれかを享受することが出来ます。

 

今週は以上です。

本ブログがフィリピンでご活躍される経営者の皆様、および今後進出をお考えの皆様の一助となれば幸いでございます。
来週もどうぞよろしくお願い致します。

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