海外法人(支店)の登録が必要な場合と不要な場合の差

税務

いつもお世話になっております。

東京コンサルティングファーム ミャンマー拠点の西野由花です。

 

ミャンマーではない国で設立された事業体がミャンマー国内で事業活動を行う場合には、海外法人として会社登記を行う必要があります。

では、ミャンマーではどの様な場合に支店をつくる必要があり、どういった場合には不要なのでしょうか。

 

まず、会社登記を行わずに事業活動を行うことは、会社法上、明確に禁止されております(43条(a))。
しかしながら、以下のケースにおいては、事業活動を行っているとはみなされないため、海外企業としての登記は必須とはなりません(43条(b))。

  1. 裁判の当事者であること若しくは当事者となること、又は裁判、請求若しくは係争において解決を図ること
  2. 取締役会若しくは株主総会の開催、又は内部事務の管理に関する他の活動の実施
  3. 銀行口座の保有
  4. 独立した契約者を通じての資産の売却
  5. ミャンマー連邦外において承諾される場合に限り拘束力を有する契約となる申込の勧誘又は斡旋
  6. 金銭の貸与、債務の負担、又は財産に対する担保権の設定
  7. 債権の保全若しくは回収、又は当該債務にかかる担保権の実行
  8. 同種の取引が繰り返し行われるものではない、30日以内に完了する単発の契約の履行
  9. 自己資金の投資又は資産の保有

 

上記のような活動のみを行う場合には、支店の登録は必要ありませんが、一方でその他の事業活動を行う場合には支店としての登記が必要となります。

なお、以前のブログ記事でもご説明させていただいた通り、ミャンマーには駐在員事務所という形態の登記は原則認められておりませんため、駐在員事務所としての活動を行う場合にも支店としての登記を行うこととなります。

 

ミャンマー会社法では国外で設立登記された非居住法人として海外法人(Overseas Corporation)の定義は規定されていますが、投資法上は明記されていません。法人格は外国企業(本社)で、法人格が本社と同一であるため、実質的にミャンマー支店に対して無限責任を負うことになります。

なお、支店・駐在員事務所の法人税率は現地法人同様、25%となりますが、

所得税率は居住法人が全世界所得であるのに対し、非居住法人はミャンマー国内源泉所得に限られます。

ただし、居住法人のうち投資法に基づきMICの認可を得て設立された企業の課税範囲はミャンマー国内源泉所得に限られます。

 

設立の際に必要なる書類は以下の通りです。

  • FormA-8(申請フォーム)…150,000チャットの手数料が発生します。
  • 海外法人のAuthorized Officerのパスポートコピー(外国籍の場合)もしくはN.R.C.のコピー(ミャンマー国籍の場合)
  • 設立証(原文、英訳、ミャンマー語訳)…申請時点で発行から30 日以内のもの(日本の場合、登記簿で代用可能)
  • 本社の定款(原文・ミャンマー語)
  • 本社の定款の英語での要約
  • 登記時現地代表者の任命に関する承諾書…申請には使用しませんが保管義務があります
  • 既存会社からの推薦状…既存会社と類似する会社名を使用する場合

※支店設立の際、本社定款のコピーには原文、英訳、ミャンマー語訳それぞれに取締役の署名を付ける必要があります。

 

いかがでしょうか。

弊社では設立前の市場調査や事業計画策定から設立、設立後の会計税務への対応の他にも、人を育成し、マネジメントする仕組みとしての人事評価制度を採り入れた組織づくりについてもご提案しています。

ご質問やご不安などございましたら、お気軽に下記までご連絡頂ければと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。


~▶YouTuberになりました!~

弊社YouTubeチャンネル『久野康成の毎日が有給休暇!!』を開設いたしました!

「久野康成の毎日が有給休暇!!」では、代表の久野が作った365の金言を
『久野語録』として日めくりカレンダーにまとめ、内容を毎日解説していきます。

チャンネル名にある通り、「毎日が有給休暇」になるような生き方のツボとコツを発信しておりますので
ぜひ一度ご覧頂ければと思います!

また、代表の久野が執筆した
『国際ビジネス・海外赴任で成功するための賢者からの三つの教え 今始まる、あなたのヒーロー』
の解説を、執筆者自らが行っている「賢者からの3つの教え」シリーズもぜひご覧ください!


Tokyo Consulting Firm Co., Ltd (ミャンマー)・ヤンゴン駐在員
西野由花(Nishino Yuka)

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報を基に、細心の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び弊社は、一切の責任を負うことはありませんので、ご了承くださいませ。

関連記事

日本ミャンマー間のレジデンストラック対応の実情

日本ミャンマー間のレジデンストラック対応の実情

ページ上部へ戻る