投資法に基づく投資許可申請手続きの概要

税務

いつもお世話になっております。

東京コンサルティングファーム ミャンマー拠点の西野由花です。

 

ミャンマーに設立を検討する際に、外資規制があるのか、どのような外資規制があるのか。というご質問をよく頂きます。

結論から言うと、ミャンマーではネガティブリスト形式で外資規制業種が定められており、

設立前に関連省庁の許可やミャンマー投資委員会からの投資許可が必要な業種も存在します。一例では小売・卸売業です。

投資許可手続はミャンマー投資委員会に対して、投資法に基づく投資許可(Permit to  Investment)の申請を行うものであり、投資規制業種での進出を検討する場合に必要となります。

また、投資法に基づいたインセンティブ(土地の長期借用など)の利用を検討している場合には別途エンドースメント手続きが必要となります。

 

目次

【投資許可申請プロセス】

① DICAから情報の提供

MIC許可の要否や投資禁止業種か否かなどの照会やアドバイスをMIC事務局のあるDICAに依頼することができます。

 

② 事業を行う土地の賃貸借契約書ドラフト等必要書類の作成

実際に投資許可申請を行う際に、土地の賃貸契約書ドラフトを添付する必要があります。

以前は、外国投資法による投資許可を得る場合には、原則、国有地を借りなければいけませんでしたが、投資法で民間の土地や建物も賃貸することが可能であることが明文化されました。賃貸借期間は、最大50年間とされ、10年の延長が2回まで可能となっています。

 

また、外国企業・外国人による投資許可申請の際に必要とされる書類は以下の通りです。

 

 [投資許可申請に必要な書類等]

  1. Form 2
  2. DirectorのNRCもしくはパスポートコピー
  3. 銀行取引明細書等(Financial Statements)
  4. 環境保護、社会福祉、CSR、防火、廃棄物取り扱い等の個別の計画(鉱業や化学事業に適用)
  5. 現地で購入した、もしくは輸入した設備、機械、原料のリスト(HSコード4桁を含めて)
  6. (建物やインフラを建設する場合)建物の図面
  7. (既存の建物やインフラを使用する場合)建物の写真
  8. 事業拠点の地図
  9. 土地の所有証明/書類
  10. (土地を個人の土地所有者、もしくは政府より貸与する場合)リース契約書の草案と貸与者の土地の所有証明/書類
  11. (合弁会社の場合)合弁契約書(草案)
  12. 記入済みのForm7(土地及び建物の長期貸与として)

他、投資家が行っている事業に応じ、関連組織が発行した承認書、許諾書、許可書等の類似の書類をすべて添付しなければならないとされています。

 

 ③ 事業評価チーム(PAT)による審査

PATは各省庁から選出された課長級の担当官や専門家から構成されるMICの機関です。

提出された書類をもとにPATが投資許可について評価手続きを行います。

 

④ ミャンマー投資委員会(MIC)による審査

PATによる手続きが行われると、その後MIC会議が行われることとなります。

MICは提案書を受理してから60日以内に審査するものと規定されています(投資法細則49条)

また、受理をしてから30日以内是認申請書を審査することとなっています(投資法細則72条)が、複雑な事例の場合はこれ以上に時間がかかることが予想されます。

  

⑤ 投資許可の認可及び投資許可証の発行

MICによる承認が完了すると、MICから許可が下ります。投資許可が出た後は、不動産の本契約締結や法人登記の申請へと進みます。

 

【エンドースメント許可プロセス】

エンドースメント(是認)は前述の通り、土地の長期借用や各種税のインセンティブを希望する場合に申請を行う必要があります。

なお、こちらの紳士絵はMICの投資許可が必要な(=規制業種での投資を行う)企業以外の申請も可能です。

 

① エンドースメントの申請・評価

投資委員会または、州管区投資委員会は、承認申請提出後15営業以内に評価を行い、受理するかどうか判断します。

受理しない場合は、不受理の日から5営業日以内に投資家へ理由とともに通知を行います。

 

② エンドースメント申請の審査

投資委員会または州管区投資委員会は、承認申請書が受理後60日以内に審査を行い、承認する場合には、承認の日から10日以内に承認証を発行します。

 

いかがでしょうか。

この投資法に基づいた投資許可の特徴は、規制業種以外であってもエンドースメントを申請することでインセンティブを受けられる可能性があるということです。

投資許可が不要な場合、エンドースメント手続きによってインセンティブをより簡便な方法で申請できる用になりました。

この結果、製造業など土地を長期で使用したい場合の申請のハードルが下がり、経済特区以外での工場建設の選択肢を持ちやすくなったと感じます。

 

なお、投資法の基に設立した企業とそれ以外の企業(所謂DICA企業)では設立後の適用法やビザ取得の際のプロセスなども異なるため注意が必要です。

詳細を確認したい方はぜひ弊社にご連絡下さい。

 

弊社では設立前の市場調査や事業計画策定から設立、設立後の会計税務への対応の他にも、人を育成し、マネジメントする仕組みとしての人事評価制度を採り入れた組織づくりについてもご提案しています。

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Tokyo Consulting Firm Co., Ltd (ミャンマー)・ヤンゴン駐在員
西野由花(Nishino Yuka)

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