マレーシア新首相にムヒディン・ヤシン氏が就任!!

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マレーシアのアブドゥラ・リアトゥディン・アル・ムスタファ・ビラ・シャー国王は2月29日午後6時ごろ、マレーシア統一プリブミ党(PPBM)党首で、前内務相のムヒディン・ヤシン氏を第8代首相に任命し、翌3月1日に宣誓式を急遽行いました。

 

事の発端は、マレーシアを長年率いてきたマハティール・モハマド前首相(94歳)が、2020年2月24日に辞表を提出したことから始まりました。

上記、辞表提出を受け、同氏が総裁を務めるマレーシア統一プリブミ党(PPBM)の党首ムヒディン・ヤシン内務相は、与党連合のパカタン・ハラパン(PH)からPPBMが離脱することを表明。さらに、PHの構成政党の1つである人民正義党(PKR)副党首で、前経済相のアズミン・アリ氏ら11人の議員がPKRを離党しました。

結果、連邦下院(定数222)での過半数(112議席)の支持を得る政党連合がなくなり、次期首相候補を決めるため、国王が222人の全国会議員と面会、各党の代表者との議論を重ねてきました。

 

憲法では、首相の任命権や下院の解散要請に対する同意権などの権限は国王に与えられており、憲法において国王の判断で過半数の信任を得そうな下院議員を首相に任命できると定められています。

よって、マレーシア国王は2月29日午後6時ごろ、「国民のためにも、次期首相の任命プロセスを長引かせるべきではない」と一連の政治混乱を収めたい意向を示した上で、マレーシア統一プリブミ党(PPBM)党首で、前内務相のムヒディン・ヤシン氏を第8代首相に任命しました。

 

ムヒディン新首相は、2020年3月時点で72歳になります。1971年にUMNOに入党し、大臣職を歴任後、2009~2015年に副首相を務めあげました。その後、ナジブ・ラザク元首相の汚職疑惑問題を受けて、2016年7月にUMNOを離党。同年8月にマハティール氏とともにPPBMを結成し、2018年5月の総選挙後からマハティール政権において内務相を務めていました。

一方で、2月29日午後11時ごろ、マハティール氏がフェイスブックで、PPBMのうち自身を含む6人はムヒディン氏を次期首相として支持しないとし、PHは、ムヒディン新首相に対する不信任決議案を提出する意向を示しました。

しかしながら、マレーシアのモハマド・アリフ・モハマド・ユスフ下院議長は3月4日、9日に予定していた下院議会の開会を5月18日に延期することを発表。元与党連合の希望連盟(PH)は、ムヒディン・ヤシン新首相に対する不信任決議案提出に向け、予定どおりの開会を主張していましたが、叶わないものとなりました。

また、マレーシアのムヒディン・ヤシン新首相は3月9日、新内閣の閣僚名簿を発表しました。閣僚は大臣が31人、副大臣が38人となります。ムヒディン首相が3月2日に「政治手腕があり、信用ができるクリーンな人物を選ぶ」と述べたように、起訴や係争中の議員は選出されませんでした。

 

新与党連合(Perikatan Nasional:PN)における主要政党のマレーシア統一プリブミ党(PPBM)から10人、統一マレー人国民組織(UMNO)から9人で、全体の約6割を占めています。もう1つの主要政党で、今回初めて与党となる全マレーシア・イスラーム党(PAS)からは3人が選出され、友党として、与党連合への支持を表明したサラワク州与党のサラワク政党連合(GPS)からも4人が名を連ねることとなりました。

新与党連合(PN)の構成政党は、マレー系およびムスリムが中心となる政党が多く、GPSに代表される東マレーシア出身議員は多くが先住民の出身です。マハティール前政権と比べて大きな違いといえるのは、上記の通り、首相を含めた70人のうち約9割をブミプトラが占めることになった点です。

併せて、民間出身者も新しく起用しています。1人は財務大臣に任命されたザフルル・アブドゥル・アジズ氏で、マレーシアの地場銀行大手であるCIMB銀行の最高執行責任者(CEO)です。もう1人は、イスラム教宗教指導者であるズルキフリ・モハマド・アル・バクリ氏で、首相府大臣(宗教担当)に任命されました。両氏は上院議員に任命の予定です。

民間出身者を多く起用した点で評価される一方、閣僚の増加や、省庁の再編および増加、所管内容が不明な省庁に関して疑問を投げかける声などもあるのが実情です。今後も、新首相による方針変更内容には注視していくことが必要になってきます。

 

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東京コンサルティングファーム
中村 文香

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