マレーシア Public Ruling “Perquisites from Employment”(雇用上の役得にける課税)について

投資環境・経済

平素は格別のご高配を賜り誠に有難う御座います。

東京コンサルティングファームの谷口で御座います。

 

今回は税務に関しまして、2019年11月に発布されたPublic Ruling “Perquisites from Employment”(雇用上の役得にける課税)について、事例も交えながら2つ紹介させていただきます

 

前提として、“Perquisite”とは、いわゆる「役得、臨時収入、特定の役職における特典」と考えられており、通常は個人の課税所得として認識されるものとなります。

また、似た言葉で“Benefit-in-Kind (BIK)”と呼ばれるもの存在しますが、大きな違いとしては現金化が可能か否か、という点がございます。

“Perquisite”は現金化が可能、“Benefit-in-Kind”は現金化が不可能なものとなります。

 

では、実際に事例を見ていきましょう。

 

【株式交付に係る課税】

(状況)

A氏は2018年4月1日、会社より額面RM4.5の株式1000株の交付を受けた。

また、その5ヶ月後の2018年9月1日において、時価RM4.8で全株式を売却した。

 

(対応)

2018年4月1日の時点で、A氏は下記金額の“Perquisite”を得たものとして認識されます。

 

RM4.5×1,000株=RM4,500

 

したがって、株式を取得した4月度において、個人所得税額は上記金額を加味して算出する必要があります。

しかし、2018年9月1日の売却時に発生する収益は“Capital Gain”として認識されるため、課税対象にはなりません。

 

 

【チップに係る課税】

(状況)

B氏は現在勤めているレストランにおいてウェイターとして働いており、サービス・対応の良さからお客様よりチップを受け取っていた。また、2018年度におけるチップの総額はRM10,000となった。

 

(対応)

仮にチップが雇用主ではなく、外部の人間やお客様からのものであっても、個人の所得として認識されてしまいます。

この場合、飽くまでもウェイターとしての業務遂行によって得られている“Perquisite”となるため、個人の所得として認識され、且つ、B氏はチップとして受け取ったRM10,000を申告する必要がございます。

 

以上となります。

 

2019年に限らず、こういった課税対象となる所得についてのPublic Rulingの発行は少なからずあるため、今後は定期的に説明をさせて頂ければと存じます。

 

今後とも引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。

 

東京コンサルティングファーム
谷口 翔悟

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