マレーシア政府は、e-Invoice(電子インボイス)の免除基準を年間売上・収益RM1 millionからRM3 millionへ引き上げました。新基準は2026年9月1日から適用されます。LHDN(内国歳入庁)のe-Invoice Guideline Version 4.8では、年間売上・収益がRM3 million未満の納税者を原則として免除対象としています。
ただし、売上高だけで免除の可否を判断することはできません。株主や親会社、関連会社の売上・収益によっては、単体売上がRM3 million未満でも免除対象外となるケースがあります。
本記事の結論
・e-Invoiceの免除基準は2026年9月1日より年間売上・収益RM1 million未満からRM3 million未満へ引き上げられます。
・対象は個人・パートナーシップ・会社・協同組合等を含む全カテゴリーの納税者です。
・年間売上・収益がRM3 million未満でも、非個人株主・Holding Company・Related Company/JVの売上・収益がRM3 million以上であれば免除対象外となります。
・日本法人を株主・Holding Companyとする日系企業のマレーシア現地法人は、特にこの除外条件の確認が必要です。
1. 今回の変更
マレーシア政府は、e-Invoiceの免除基準を年間売上・収益RM1 millionからRM3 millionへ引き上げました。新基準は2026年9月1日から適用されます。
| 項目 | 内容 |
| 旧基準 | 年間売上・収益 RM1 million未満 |
| 新基準 | 年間売上・収益 RM3 million未満 |
| 適用開始日 | 2026年9月1日 |
| 対象 | 個人、パートナーシップ、会社、協同組合等を含む全カテゴリーの納税者 |
2.【重要】売上がRM3 million未満でもe-Invoiceが免除されないケースとは?
年間売上・収益がRM3 million未満であっても、以下のいずれかに該当する納税者は免除対象になりません。e-Invoiceの実施が必要です。
- 非個人株主の売上がRM3 million以上非個人株主(会社等)を有し、その非個人株主の年間売上・収益がRM3 million以上である場合
- Holding Companyの売上がRM3 million以上Holding Company(持株会社)の子会社であり、そのHolding Companyの年間売上・収益がRM3 million以上である場合
- Related Company/JVの売上がRM3 million以上Related Company(関連会社)またはJoint Venture(JV)を有し、そのRelated CompanyまたはJVの年間売上・収益がRM3 million以上である場合
したがって、e-Invoiceの免除判定は「マレーシア法人単体の売上がRM3 million未満か」だけでは完結しません。株主、親会社、関連会社、JVの売上・収益まで確認して判定します。Related CompanyはPromotion of Investments Act 1986 Section 2の定義に基づきます。
3. 日系企業への影響
日系企業では、日本法人がマレーシア現地法人の株主またはHolding Companyとなっているケースが一般的です。この場合、マレーシア現地法人自身の年間売上・収益がRM3 million未満でも、日本側の株主・Holding Companyの年間売上・収益がRM3 million以上であれば、現地法人はe-Invoice免除を受けられません。
- MY法人売上 RM2 million、日本法人が100%株主、日本法人売上 RM50 million → 免除対象外
- MY法人売上 RM2 million、Holding Company売上 RM10 million → 免除対象外
- MY法人売上 RM2 million、RM3 million以上の売上を持つRelated CompanyまたはJVあり → 免除対象外
- MY法人売上 RM2 millionで、上記3つの除外条件のいずれにも該当しない → 免除対象
このため、特に日本企業の子会社については「売上RM3 million未満だからe-Invoice不要」と判断することはできません。まず資本関係・グループ関係を確認し、上記の除外条件に該当するかを確認する必要があります。
4. 新設法人の取扱い
LHDN Guideline Version 4.8では、新設法人についてもRM3 million基準が適用されます。2023年から2025年に事業を開始した法人で年間売上・収益がRM3 million以上の場合、e-Invoice実施日は2026年7月1日です。
2026年以降に事業を開始する場合は、原則として2026年7月1日または事業開始日から実施します。ただし、初年度の売上・収益がRM3 million未満と見込まれる場合は、年間売上・収益がRM3 millionに到達した年の翌々年1月1日が実施日となります。
5. 企業が確認すべき事項
- 自社の年間売上・収益がRM3 million以上か、未満か
- 非個人株主(会社等)がいる場合、その株主の年間売上・収益がRM3 million以上か
- 自社がHolding Companyの子会社である場合、そのHolding Companyの年間売上・収益がRM3 million以上か
- Related CompanyまたはJVがある場合、その会社・JVの年間売上・収益がRM3 million以上か
- 新設法人の場合、設立・事業開始年とRM3 million到達年から実施日を判定する
①がRM3 million未満でも、②~④のいずれかに該当すれば免除対象外です。①がRM3 million未満かつ②~④のいずれにも該当しない場合は、e-Invoiceの免除対象となります。
よくあるご質問(FAQ)
Q1.年間売上がRM3 million未満なら必ずe-Invoiceは免除されますか?
A.いいえ。非個人株主、Holding Company、Related Company・JVのいずれかの年間売上・収益がRM3 million以上である場合は、単体売上がRM3 million未満でも免除対象外です。
Q2. 新基準はいつから適用されますか?
A.新基準(RM3 million未満)は2026年9月1日から適用されます。
Q3.2026年に新設した法人はどう扱われますか?
A.原則として2026年7月1日または事業開始日から実施しますが、初年度の売上・収益がRM3 million未満と見込まれる場合は、RM3 millionに到達した年の翌々年1月1日が実施日となります。
6. まとめ
今回の改正により、e-Invoiceの免除基準はRM1 millionからRM3 millionへ引き上げられました。ただし、RM3 million未満という金額基準だけで免除を判断することはできません。非個人株主、Holding Company、Related Company、JVの年間売上・収益がRM3 million以上である場合には免除されません。特に日本親会社を持つマレーシア現地法人は、この除外条件に該当するかを必ず確認したうえでe-Invoiceの実施要否を判定する必要があります。
東京コンサルティングファームのサポート
東京コンサルティングファーム マレーシア拠点では、e-Invoice対応の要否判定から、会計・税務申告、給与計算、会社設立・労務まで、日系企業のマレーシア現地法人運営を幅広くサポートしています。
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長山 毅大
東京コンサルティングファーム マレーシア拠点
免責事項
本記事は、2026年9月2日時点で確認できるマレーシアの法令、LHDN(内国歳入庁)発表および税務情報等に基づき、一般的な情報提供を目的として作成したものです。