税務局からの質問に対して準備しておくこと

税務

こんにちは、カンボジア駐在員の市坪です。

今回は前回に引き続き、共通の出資者が設立した企業Aと企業Bがあり、その企業Aにのみ繰越欠損金がある場合の、よくある税務局からの指摘について見ていきたいと思います。

前回もお伝えしましたが、企業Aに繰越欠損金がある時、企業Bとの間で利益移転が可能かどうかに関する、税務局からの質問に備えておく必要があります。
3年に1度は必ず行なわれる税務監査では、繰越欠損金を乱用するために企業間で取引が行われていなかったかどうかも確認されます。特に、繰越欠損金の繰越期限が切れそうな場合は入念に確認が行なわれます。

そのような指摘が入る前に企業Aは、その企業間取引が正当なものであったと監査人に証明するために、その証拠となる書類を用意しておく必要があります。一般的に、その証拠となる書類では以下のポイントを抑えておくと良いと思います。

1. 取引が実際に行われたか? サービスや供給は書面上だけでなく、実際に遂行されたか?
2. なぜその取引が行われたのか? その背後にあるビジネス上の理由は何か?
3. 価格はどのようにして計算されたか? その価格は他の取引でも使用できる適正価格であるか?

特に、請求書、作業指示、契約書、タイムシートや見積書などの書類を税務監査に備えてきちんと保管しておくことをお勧めします。

しかし、どんなに対策を講じても、欠損金を繰り越すことが困難なケースは多々あります。その主な理由は、その欠損金による法人税の控除額を納税者が法人税確定時に逐一証明しなければならないからです。
また、企業が法人税確定時に益金と繰越欠損金を相殺した際、税務局による税務監査が行われる可能性があります。企業の会計は一定でかつ適正な基準に合わせるべきであるという見解から、新しい企業にとって、欠損金は帳簿上にあってはなりません。企業は、欠損金にかかる納税申告書も同様に保管しておく必要があります。

実務上では、売上高が少ない、あるいは全くない、企業が営業停止中の場合には、税務局から繰越欠損金に関する指摘はほとんどありません。しかし、純利益を計上した場合は異なります。新たに発生した純利益から、過去の繰越欠損金を実際に控除した場合、税務局はこれらの数年前の欠損金をどのように発生させたのか尋ねてきます。このような指摘、もしくは税務監査に対して充分な説明が行えるように企業は備えておかなければなりません。

以上

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