日本人駐在員の給与設計

皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。
今回は「日本人駐在員の給与設計」についてお話しします。

 

カンボジア進出企業の悩みの一つとして、日本人駐在員の給与設計があります。
カンボジアの給与にかかる税金は、超過累進課税方式をとっており、最大で給与の20%と、日本と比べると低くなっています。しかし月額報酬が約300USドルを超える部分から給与税が発生し約3,250USドルを超えると給与税額が20%に達してしまし、基礎控除もありません。そのため、相当な高額所得者でもない限りはカンボジアのほうが高くなってしまします。

 

また、給与以外の、家賃補助や通勤車、海外保険といった付加給付(Fringe Benefit)にも、一律20%の付加給付税が課されます。
そのため、多くの企業がカンボジアで支給する給与と日本で支給する給与を分けて対応しています。カンボジアの物価は決して安くはないですが、それでも日本と比べると生活費は少額で済むため、カンボジアでの給与を抑え、差額を日本で支給する方法が一般的です。
厳密には、日本人駐在員はカンボジアの居住者となるため、カンボジア国外の所得についても申告し、納税する必要がありますが、税務当局側も調査が困難なため、実務上そこまで厳格に遵守されているものではありません。

しかしながら、安く抑えすぎる場合も、税務調査においてリスクが発生します。
税務当局は、日本人の給与は高いものだという認識を持っており、例えば工場長クラスであれば、最低でも3,000USドルが相場とされています。
工場長で月額給与を1,000USドル、給与以外に家賃補助500USドルと設定した場合、毎月の給与税が約60USドル、付加給付税が約100USドルとなります。
しかし、税務調査が入り、日本人駐在員の給与が低すぎると判断された場合、推定の給与額に課税され追徴を受けることになります。推定給与額を3,300USドル(給与税約357USドル)とされた場合、毎月297USドルが未納とされ、追徴を受けます。さらに、未納額に対し最低25%(最大40%)のペナルティと、給与発生した月まで遡って毎月2%の利息が発生します。

 

仮に3年前の給与が調査され、上記の未納があったとされた場合の追徴額の計算方法は、
297(未納額) + 74.25(ペナルティ25%) + 213.84(利息月2%×36ヶ月)
となり、合計で585.09USドルとなります。

 

これは1ヶ月分の給与の計算になるので、実際には1年分追徴され、単純計算で追徴額合計は6629.04USドルとなってしまします。
このため、日本人駐在員をカンボジアに送る際の給与設定は、慎重に行う必要があります。しかし、税務当局の指摘する推定給与額は、実際に指摘されるまで知ることが出来ないため、完全なリスク回避は難しく、リスク低減が限界となってしまいます。

 

カンボジア進出前の給与設計、カンボジアには進出しているが今の給与設定で問題ないかなどの相談は随時受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
なお、カンボジアでの給与税の計算には、カンボジア税務総局が給与税計算アプリを出しています。アプリ検索画面でより「Cambodia Salary Tax」と検索し、無料でダウンロードができます。月額給与にかかる給与税及び付加給付税を簡単に計算することができます。

今週は以上になります。

 

株式会社東京コンサルティングファーム

カンボジア拠点

西山 翔太郎

 

 

 

 

 

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