デリバティブ・ヘッジ取引例題

会計

皆様、こんにちは。カンボジア駐在員の公認会計士の熊谷です。今週はデリバティブ・ヘッジ取引について例題を用いてご説明させていただきたいと思います。

例題 32 平成太陽株式会社は材料の輸入取引を行っている。最近は為替相場の変動が大きいため、リスクとなっていた。それで、為替予約を用いて、為替相場を固定させて、リスクヘッジを行った。以下、取引の概要である。
4月1日  4月10日に100$原材料を輸入する契約を締結した。その際同時に1$105円の為替予約を行った。4月1日現在の為替相場は1$104円であった。

4月10日 予定通り、原材料を輸入した。4月10日現在の為替相場は1$110円であった。

この原材料は期末において在庫として保管されていることを確認した。

以上の取引の仕訳を示せ。

4月1日 仕訳なし
為替予約を締結したのみでは、損益は発生しないため、仕訳を切ることはない。

4月10日
Dr 仕入 11,000                         Cr 当座預金 11,000      
purchase of goods current accounts

Dr 当座預金 500                        Cr 為替損益 500
current accounts Foreign exchange losses and profits

仕入を実際行ったが、為替予約によって500円の利益を得ることができた。それを為替損益として認識する。これがデリバティブ取引の仕訳である。仕入に関しては為替予約を行ってないと仮定して金額を算定する。

期末日 
Dr 為替損益 500                      Cr 繰延ヘッジ損益 500
Foreign exchange losses and profits Deferred gains or losses on hedges

実際に仕入れたものが、期末に在庫として残っていることを確認したため、実際に費用となるのは翌期以降となることがわかる(ヘッジ対象)。したがってこのヘッジ対象の損益は今期ではなく、翌期以降に計上される。為替予約はヘッジ取引であるため、ヘッジ対象の損益とヘッジ手段の損益を同じ期に計上する会計処理が求められる。したがって為替予約(ヘッジ手段)の損益も翌期以降に繰り延べる処理が必要になる、この繰延ヘッジ損益という科目は負債科目である。

 

今週は以上です。

会計処理で不明点等ございましたら kumagai.keisuke@tokyoconsultinggroup.com
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