カンボジア税務:源泉徴収税

税務

皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。

今回は「カンボジア税務:源泉徴収税」についてお話しします。

 

カンボジアでの税務について、給与税(Tax on Salary)、源泉徴収税(Withholding Tax)、付加価値税(Value Added Tax)、前払法人税(Prepayment of Tax on Profit)など、月次申告の対象となる主な税金をそれぞれの概要を紹介してきます。

今回は、源泉徴収税(Withholding Tax:WHT)の概要について紹介します。

カンボジアにおいても、税の徴収に際し、源泉徴収税を設けていますが、非常に大きなトラブルとなるケースが多発しており、注意がより必要な項目の一つです。

居住者によって、次のようなサービスの提供を受けた場合、そのサービスの内容と支払先に応じて、支払者は源泉徴収税を徴収する義務があります。各種サービス等の支払において、納税義務者である事業者が、支払いから徴収し、申告納税する必要があります。

源泉徴収税は、原則として実際の金額が支払われた時点で発生しますので、未払金として処理する場合等は、会計帳簿に記帳された日付に支払いがなされたものとして申告します。源泉徴収税は、月次申告により、翌月20日までに支払者が納付しなければなりません。

源泉徴収税

分類

居住者

非居住者

専門サービス、コンサルタント、その他類似のサービス

15%

14%

ロイヤルティー

15%

14%

銀行等金融機関以外からの利息

15%

14%

賃貸料(不動産、動産に関係なく)

10%

14%

銀行等金融機関からの利息(定期預金)

6%

14%

銀行等金融機関からの利息(普通預金)

4%

14%

ただし、VAT事業者に対する支払は、ロイヤルティー、利息、賃借料に関する支払のみが源泉徴収の対象となります。

各種サービス等に関しては、範囲が非常に広範囲となりますが、VAT事業者からサービスを受ける、給与税の対象となる支払いに対して源泉徴収税はかかりません。また、原料や商品の購入に対しても源泉徴収税の対象とはなりません。

そのため、例えばVAT未登録の建設会社を使用する場合、建設費用の内訳に関して「建設資材」の購入なのか、「運搬や労務などのサービス」の購入なのかを明記し、請求書や領収書を発行してもらう必要があります。その明記をしていない場合、たとえ「建設資材」の購入で、源泉徴収税の対象外の取引であっても、建設サービスとして費用全額に源泉徴収税15%が発生してしまう可能性があります。

また、車両をレンタルする場合は、通常は源泉徴収税10%が課税されますが、もしこのサービスにドライバー費用も含まれる場合、運転サービスとしてこのドライバー費用に対して15%の源泉徴収税が課税されます。しかし、請求書、領収書にこの内訳が記載されていない場合、この車レンタルサービス費用全額に対して15%が課税され、そのように納税・申告も合わせて行わなければなりません。

カンボジアにおいてはVAT登録をしていない小企業が多く存在し、また源泉徴収税の知識も持っていないため、実際に支払う段階でトラブルになるケースが多くあります。

しっかりと説明をして源泉徴収をするのか、グロスアップしてサービス提供者の受取金額を保証するのか、といった対策がありますが、何れの場合でも、税務の専門家へ相談することが、一番のリスク対策になります。

以上が、源泉徴収税(Withholding Tax:WHT)の概要となります。

 

今週は以上になります。

 

西山 翔太郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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