カンボジア就業規則(2/5)

労務

 

皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。
今回は「カンボジア就業規則(2/5)」についてお話しします。

 

1.就業規則の規定と作成義務
2.政府への承認申請
3.就業規則作成の流れ
4.従業員の解雇
5.終わりに~バランススコアカード~

 

 

2.政府への承認申請

カンボジアの就業規則の作成と労働監査官の承認の手順は以下のようになっています。

企業は、従業員の代表との協議の上、企業の設立もしくは8人以上の従業員を雇用するに至った日から3カ月以内に就業規則を作成しなければならない。
就業規則は、労働監査官により承認を受けた後、有効となる。
就業規則の提出を受けた労働監査官は60日以内に就業規則を承認しなければならない。
就業規則は従業員に配布され、容易に目にすることができる場所に掲示しなければならない。

 

実務上、就業規則作成および承認には、大きく分けて 2 通りの方法が存在します。
自社もしくは関連会社が保有する就業規則をカンボジア労働法に準拠させた就業規則を自社で作成し、労働監督官の承認を受ける方法
労働省の就業規則モデルを参考に就業規則を作成し、労働監督官の承認を受ける方法

 

労働監督官の承認を受けるためには、「b」の方法の方が容易であるため、「b」の方法を選択する企業が多くなっていますが、労働省のモデルをそのまま使用しているため、自社の方針に整合していない、内容自体を把握していない等のケースが散見されます。

 

就業規則は、労働法や省令等と矛盾する内容を含むことはできず(第25条)、不備等があると承認が下りませんのでご注意ください。労働監督官が矛盾や労働法等を下回る規定を見逃し承認を受けた場合でも、労働者の訴えにより就業規則の規定が無効とされ、労働法等の規定が適用されます。また、外国人であっても現地で雇用契約されていれば、就業規則が適用されることになります。

 

一般的に、就業規則に記載すべき事項としては、下記の通りになります。

  • 採用条件や採用前手続き
  • 労働者の身上に変更があった場合の手続き方法
  • 訓練に関する規定
  • 試用期間に関する規定
  • 業務方法
  • 採用時及び採用後の健康診断に関する規定
  • 労働時間(休憩含む)に関する規定
  • 深夜労働と時間外労働に関する規定
  • 休日に関する規定
  • 年間休日、祝日の休み、特別休暇に関する規定
  • 女性労働者の出産休暇に関する規定
  • 傷病休暇に関する規定
  • 労働災害での休業に関する規定
  • 給与、賞与、現物支給、その他の手当の決定、支払、減額
  • 欠勤に関する規定
  • 正式な許可のある休暇に関する規定
  • 休暇許可のない欠勤に関する規定
  • 勤務中の備品などの利用に関する規定
  • 企業・機関の建物、場所の利用に関する規定
  • 企業敷地内の出入りに関する規定
  • 規則違反あるいは重大な違反行為を犯した場合の労働者への処罰
  • 処罰に当たる前の労働者の権利
  • 業務上の衛生、安全に関する命令および対策
  • 上記の命令、対策を守るための労働者の順守義務
  • 業務によるノイローゼおよび労働災害の予防

 

今週は以上になります。
ご不明な点などがありましたら、お気軽にご連絡下さい。

 

 

株式会社東京コンサルティングファーム カンボジア拠点
西山 翔太郎

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。該当情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Ltd.)は一切の責任を負うことはありませんのでご了承ください。

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