カンボジアの労働組合法

労務

皆様こんにちは。カンボジア安藤です。

 

今回は、カンボジアの労働組合法についてお話ししたいと思います。

 

労働組合法は、2016年6月に成立・施行された法です。

改正ではなく、新法として制定されました。

全100条から成り、労働者の労働組合に関する権利や組織の定義、労働組合または使用者団体の登録、不正行為、罰則などについて規定されています。

 

労働組合法が制定されるまでは、労働法や企業内の労働者代表についての省令第 286 号、労働協定登録手続き、及び協定の広告・適用の検討に関する省令第 287 号など他にもいくつかの省令によって規定されたものを頼りにしていました。

そこで、2016年に「法令に基づき正式に運営されている組合に限って権利行使ができる」というスタンスを改めて示したものとしてみられます。

 

労働組合法の目的は、企業、団体、労働法適用者及び空運・海運に従事する人員の権利自由を定めることです。また、従業員及び使用者の専門団体の組織及び機能について定めることです。

 

労働組合と使用者団体の基本的権利として以下のような権利が規定されています。

・全ての労働者や使用者は、労働組合又は使用者団体の設立、加盟・不加盟又は

脱退の権利等を有する。

・全ての労働者や使用者は、人種、肌の色、性別、信条、宗教、政治的見解、国籍、社会的 身分または健康の状態に関して差別されることなく団体に加盟する権利を有する

 

労働組合と使用者団体の構成は、労働組合が3層、使用者団体が2層で形成されています。

労働組合は、

現地労働組合:

現地の企業または組織内における労働者によって共同かつ任意に組成された職業団体。企業または組織内の10人以上の労働者により組成。

労働組合連合:

同様または類似の職業または経済活動を行う現地労働組合によって共同かつ任意に組成された職業団体。登録された7組合以上の現地労働組合により組成。

労働組合連盟/労働組合総連合:

労働組合連合によって共同かつ任意に組成された労働者の職業団体。登録された5連合以上の労働組合連合により組成。

 

使用者団体は、

使用者団体:

使用者団体の定義はないが、9社以上の企業または組織により組成される。

使用者連合体:

使用者団体によって共同かつ任意に組成された職業団体。登録された6団体以上の使用者団体により組成。

 

労働組合や使用者団体は、12条に記載されている必要条件を満たし、登録しなければ成りません。また、ここでは、会計帳簿および会計記録が保管される場所や銀行口座に関する情報も必要とされます。

定款の必要条件もあり(13条)、これらを満たしておらず登録されていない労働組合や使用者団体は、違法とみなされます。

 

また、労働組合法には違法や妨害に対する措置と罰則が規定されました。

これによって、例えば、未登録の団体は、勧告を受けて、団体の取り消しや解散をしなければなりません。勧告に従わない場合は、5,000,000リエル(約1250米ドル)以下の罰金が科せられます。

 

 

この他にも、様々な規定がされ、労働組合や使用者団体に対しての取り締まりがより明確になりました。一方で、労働組合の活動制限が鮮明になり、労働者の支援が難しくなったという声もあるようです。

 

 

今週は以上とします。

大変長文でありながら、拝読いただき有難うございました。

皆様のカンボジア滞在・経営のサポートとなれば、幸いです。

 

安藤 朋美

 

 

 

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