■カンボジア企業経営への心得

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■カンボジア企業経営への心得

皆様こんにちは、カンボジア駐在員の澤柳です。

今回は、3つ目の問題、「財務の問題」についてお話しします。

 

財務の問題とは、資金繰りがうまくいかなかい、予算達成ができないなどの問題となります。こうした問題対しては、お金の流れを可視化して、早急に処置すべきかどうかを決定しなければなりません。

 

ここでのポイントは、お金の流れの可視化です。実際に数字だけを見るのもいいですが、全ての経営者が会計士の資格や経理部長の経験があるわけではありませんので、おそらく多少なりとも時間がかかります。そこで、時間をかけず、一発でお金の流れを理解するために、以下のような図を作成することをオススメしています。

 

 

 

この図は、CVP分析といって、コストを変動費と固定費に分解することから始まります。

売上から変動費を差し引いた限界利益(グロスマージン)を算出します。

さらに、人件費を除く固定費を差し引いたものを純限界利益(ネットグロスマージン)と呼びます。そして、これを3人の利害関係者に分配します。

  • 社員へ (固定給・賞与=プロフィットシェアリング)
  • 会社へ (内部留保・返済・分配)
  • 社会へ (国に対して払う税金+CSR)

 

すると、自然とお金の流れ、そしていくら会社に現金が残るのかが一目でわかります。

現在のお金の流れを理解したところで、次に最適なお金の分配を考えなければいけません。つまり、どこにいくらお金を使うのか基準値を設定し、そのための改善を行うのです。

 

例えば、固定費は有効性と効率性とに分けて考えます。有効性のある固定費とは企業にとって売上を上げるパワーとなる投資です。従って、有効的な固定費まで削減してしまうと、売上げも減らしてしまうことになります。効率性を考えて削減する固定費を決定しなければなりません。

 

また、会社のあるべき労働分配率を設定することも必要でしょう。一般的に中小企業の場合、ネットグロスマージンのうち社員への分配は6割が理想と言われています。その分配されたうち、固定的な報酬を給料、残りを賞与と考えます。

つまり、社員に示すべきは、ネットグロスマージンを増加させることは社員の賞与を増加させることにつながるということをオープンにするべきです。そうすることで、無駄な経費を削減することで、自らが恩恵を受けることを理解し、社員もまた会社から無駄な費用を減らそうと行動するようになります。

 

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IFRS キャッシュフロー計算書について

 

こんにちは、カンボジア駐在員の公認会計士の熊谷です。今回はIAS7号に基づいて「キャッシュフロー計算書」についてご説明いたします。

 

IFRS基準と日本基準の差異ですが、非常に細かい差異は存在しますが、ほぼ同じと考えて良いレベルの違いしかないといえます。ですから、今回は、キャッシュフロー計算書の構造について簡潔にご説明したいと思います。

 

 

上記は、間接法におけるキャッシュフロー計算書を示しています。

 

キャッシュフロー計算書の「キャッシュ」の対象・・・・・・現金及び現金同等物

現金同等物・・・・容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資(取得日から3ヶ月以内に満期日又は償還日が到来するものを例示)

 

上記がキャッシュフロー計算書対象となります。このことから3ヶ月未満に満期が来る定期預金はキャッシュフロー計算書の計算対象に含まれることになります(それぞれの会社の会計方針で期間は別に定めることができます。2ヶ月未満と定義すれば上記は対象とはなりません。)

 

キャッシュフロー計算書は、営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローの三区分に分けて記載をします。

 

営業活動によるキャッシュフロー・・・・・企業の本来の営業活動から生じたキャッシュフロー又は、投資活動、財務活動以外のキャッシュフロー

 

投資活動によるキャッシュフロー・・・・・将来の収益やキャッシュフローの獲得を目的として支出したものに関連するキャッシュフロー

 財務活動によるキャッシュフロー・・・・・企業の資金調達に関連して生じるキャッシュフロー

 

 

 

なお、上記に載せられているキャッシュフロー計算書は「間接法によるキャッシュフロー計算書」です。この「直接法」「間接法」とは営業活動によるキャッシュフローをどのように表示するかの方法を指しています。

直接法・・資金の流入と資金の支出を総額で表示する方法であり、投資活動によるキャッシュフローや財務活動によるキャッシュフローと同じ表示の仕方を採用する方法

間接法・・損益計算書の当期純利益よりキャッシュフローに関連する調整を加えることで営業活動によるキャッシュフローを計算・表示する方法

 

上記に載せられているキャッシュフロー計算書の営業活動によるキャッシュフローの部分を簡単にご説明したいと思います。間接法を採用していますので、税引前当時純利益からスタートすることになります。その下の減価償却費ですが、この費用項目は非現金支出項目であるため、費用は計上されますが、キャッシュの流出はない項目となります。したがって、当期純利益からキャッシュの流れに戻していくためには減価償却費を加算する必要があるといえます。(損益のほうがキャッシュより小さい状態になっているため加算してキャッシュの状態に戻す)その次に営業項目に係る資産負債の増減を調整していきます。具体的には、売上債権、棚卸資産、仕入債務等です。この期首と期末の残高の増加、減少は、損益とキャッシュフローの差を意味していますので、それらを調整することにより、損益をキャッシュの流れに戻していく処理を行います。

 

売上債権の増加・・・減算

売上債権の減少・・・加算

棚卸資産の増加・・・減算

棚卸資産の減少・・・加算

仕入債務の増加・・・加算

仕入債務の減少・・・減算

 

上記のようになりますが、営業項目にかかる資産は増加は減算、減少は加算となり、営業項目にかかる負債は増加は加算、減少は減算となると覚えるとすっきり考えることができるかと思います。

 

なぜなら、たとえば、売上債権が増えるということが何を意味しているかといいますと、売上計上はされていますが、キャッシュの流入がないものが増えたことを意味しているため、損益よりキャッシュが小さい状態になっているということです。したがって損益からキャッシュに戻していくためには、減算する必要があるということがわかりますね。

 

その下の法人税等の支払額は直接法でも出てくる項目であり、現金等支払額を示しているといえます。

 

間接法の構造が少しイメージできましたでしょうか。次のIFRS分野の記事では直接法について少しご説明したいと思います。

 

 

 

 

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