バングラデシュに現地法人を設立する際、全ての現地法人は株主からの出資金を受けます。
この出資金額の設定は、バングラデシュにおいて売上を上げ、自己資金のみで運営ができるまでの費用等を考慮して設定されますが、予測不能の事態の発生や、製造ラインの立ち上げ、営業計画が軌道にのるまでの期間が長引く等の理由で、追加資金が必要になる場合があります。
その場合の選択肢として、“資本金”として、バングラデシュ現地法人に資金を送金することがありますが、その際に、財務諸表上、資本準備金(Share Money Deposit)として表示されている場合が多くあります。
財務諸表上、資本金(Equity)の一部に含まれており、資本金と同様に振出し運転資金に使用できるため、気づかれないケースも多いです。
この資本準備金とは、資本金として受入れはしたものの、株式が発行されていない状態のものを指します。
株式が発行されていない状態であるという事は、株式保有割合が出資額に応じて変動していないという事となり、これは株主の権利が適切に守られていないという事を意味します。
グループ企業間で出資し、バングラデシュ現地法人を設立している場合はあまり問題になりませんが、合弁パートナーと共同出資している場合は、株式保有割合は非常に重要な要素となります。
バングラデシュ中央銀行は、こうした資本準備金に対し株式が割り当てられていない状況を受けて、資金の受入れから一年以内に株式を割り当てること(増資(Share Allotment)を行う)をルール化しました。
追加資本を受け入れている場合は、適切に株式が割り当てられているか(増資が行われているか)を確認することをお勧めします。
なお、株式の割り当てには、商業登記所での登記が必要となります。
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渡邊 忠興
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