本記事の構成
「国内市場の成長に限界を感じている」「新たな海外市場を開拓したい」——そうお考えの経営者の皆様にとって、バングラデシュは魅力的な選択肢の一つではないでしょうか。しかし同時に、「具体的にどんなメリットがあるの?」「リスクはないの?」「どうやって進出すればいい?」といった疑問や不安も尽きないかもしれません。特に、資金や人材に限りがある中小企業にとって、海外進出は大きな決断です。
この記事では、バングラデシュに駐在するコンサルタントである私が、皆様の不安を解消し、バングラデシュ市場が持つ真の魅力と可能性をデータに基づき分かりやすく解説します。
近年、中国やASEAN諸国に続く「次のアジア」の成長市場として、バングラデシュが世界から注目を集めています。人口ボーナスと堅調な経済成長を背景に、単なる生産拠点としてだけでなく、巨大な消費市場としての潜在力も秘めています。
欧米や中国、韓国の企業は既にこの有望な市場に目を向け、ビジネスを開始しています。貴社が新たな事業の柱を築き、企業の持続的な成長を実現するためには、この未開拓のフロンティアを早期に認識し、戦略的にアプローチすることが不可欠です。
海外進出は、特に中小企業にとって、以下のような具体的な課題を伴います。
また、「費用対効果はどうか」「導入後のサポートは得られるのか」といった具体的な疑問をお持ちの方も少なくありません。本記事では、これらの不安を一つずつ解消し、皆様がバングラデシュ進出の検討を進められるよう、具体的な情報と実践的なアドバイスを提供してまいります。
バングラデシュは、その人口規模において世界有数の国です。
これらのデータは、バングラデシュが単なる生産拠点ではなく、巨大な消費地としても非常に有望であることを明確に示しています。
下記のグラフのように、バングラデッシュはこの先も継続して人口が増加すると予測されており、また15~64歳のいわゆる「生産人口」の割合がとても高い国です。そのため、GDPの継続的な成長が期待されており、2027年の推測では1年で7%もの成長が期待されています。
【参考:IMF(2025年4月時点の統計)】
https://www.imf.org/en/Publications/SPROLLS/world-economic-outlook-databases
バングラデシュは近年、堅調な経済成長を続けています。
【出所:ジェトロ日系企業調査(2013年度、2019年度、2023年度)】
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/37977922f57e157a.html
バングラデシュ経済は長らく縫製品産業に大きく依存してきました。しかし、政府は産業構造の多様化を重視し、新たな成長分野の育成に力を入れています。
これらの動きは、多様な産業で日本企業がビジネスを展開できる機会が広がっていることを示しています。
バングラデシュは、単に経済的な魅力だけでなく、日本との長年にわたる特別な関係性も持ち合わせています。日本はバングラデシュにとって主要なODA(政府開発援助)供与国であり、この歴史的背景から、バングラデシュ国民の多くが日本に対して強い親近感と尊敬の念を抱いています。
この親日感情は、ビジネスの現場において非常に大きなメリットとなります。現地のパートナーや従業員との信頼関係を構築しやすく、文化的な摩擦が軽減される傾向にあります。これは、海外ビジネスにおいてしばしば直面するコミュニケーションの壁を低減し、スムーズな事業運営を促進する上で計り知れない価値があります。日本企業というだけで、現地の協力や理解を得やすい土壌があることは、他の国では得難い強みと言えるでしょう。
中国やASEAN諸国ではビジネス環境が整いつつある一方で、日本企業だけでなく中国・韓国企業との熾烈な競争が繰り広げられており、収益を獲得することが難しくなっています。
一方、バングラデシュのような「フロンティア市場」では、ビジネスにおけるソフト・ハード両面での未整備という困難はありますが、その分、競争相手が少ないという大きなメリットが存在します。
リスクを伴うものの、もし環境が完全に整う前に進出を決断できれば、競合他社に先駆けて市場に参入し、「先駆者利益」を享受できる可能性を秘めています。これにより、圧倒的に有利なポジションを築き、長期的な競争優位性を確立することができるでしょう。これは、中小企業が大手企業には難しいニッチな市場で存在感を発揮するための、絶好の機会となり得ます。
近年のグローバルサプライチェーンの混乱は、多くの企業にとって生産拠点の多様化の必要性を浮き彫りにしました。バングラデシュは、このサプライチェーン多様化の選択肢として、その「安価な労働力」と「輸出拠点」としての魅力から注目を集めています。また、それ以外にも政府が発表した「輸出優遇措置」というものがあります。
このような優遇措置は、バングラデシュが単なる製造コスト削減の地としてだけでなく、戦略的な輸出ハブとしての役割を担い始めていることも示しているのです。
バングラデシュの経済成長の足枷となっているのが、道路や電力といった基礎的インフラの不足です。
克服のヒント:
バングラデシュの法制度は先進国に比べて未整備な部分が多く、行政手続きが遅延したり、担当者による解釈の違いから多くの手間がかかるケースも少なくありません。また、賄賂を求められる可能性も指摘されています。
対応策:
海外進出において治安状況は常に懸念事項ですが、以下の機関から常に最新の情報を入手することが推奨されます。
同時に、バングラデシュの文化や商習慣への深い理解も不可欠です。
現地の文化や人々の特性を尊重し、理解することで、従業員やパートナーとの良好な関係を築き、予期せぬトラブルを回避し、持続的なビジネスを確立することが可能となります。
JETRO(日本貿易振興機構)の活用:
JICA(国際協力機構)の活用:
これらの公的機関が提供する情報は、進出前の情報収集段階だけでなく、進出後の事業展開においても、バングラデシュ市場で成功を収めるための強力な味方となります。
バングラデシュ市場で成功を収めている日本企業の中には、潤沢な資金や人員がない中小企業も少なくありません。
成功の共通点:
これらの成功事例に共通するのは、バングラデシュの強み(労働力、市場規模、親日感情)を最大限に活かし、同時にリソースの制約を理解した上で、現地に適したビジネスモデルを構築している点です。
一方で、バングラデシュ進出で困難に直面する日本企業も存在します。多くの場合、以下の点が原因となります。
これらの失敗事例から学ぶべきは、現地の「リアル」を正確に把握するための綿密な事前調査と、予期せぬ事態に対応するための柔軟な戦略、そして何よりも現地に精通した専門家からの継続的なサポートの重要性です。
海外進出に失敗はつきものです。しかし、重要なのは失敗を恐れるのではなく、そこから何を学び、次へとどう活かすかというマインドセットです。新興国への挑戦にはトップの強い意志とリーダーシップが不可欠です。
バングラデシュ市場は、そのポテンシャルと同時に予測不能な側面も持ち合わせていますが、これらの課題は克服可能なものです。失敗事例から教訓を得て、適切な対策を講じることで、バングラデシュでのビジネスを成功に導くことができるでしょう。
いかがでしたでしょうか。東京コンサルティングファームでは、日本企業向けの海外進出支援を行っております。
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