トルコでの雇用契約と就業規則に関して

こんにちは、トルコ駐在員の高津です。

今週はトルコでの雇用契約と就業規則に関して記載していきます。

雇用契約

雇用契約は、以下の4種類に分類することができます。

 

・ 有期雇用契約

・ 無期雇用契約

・ パートタイム労働契約

・ オンコール労働契約

 

雇用者は雇用開始時より2カ月以内に雇用契約書を労働者に渡さなければなりません(労働法8条)。 雇用契約書には、通常および特定の労働条件、1日および1週間の労働時間、賃金および手当を記載しなければなりません。また、有期雇用の場合には、賃金の支給時期および雇用契約の終了に関する事項を記載しなければなりません。上記雇用契約の分類とは別に、契約期間が30日以下の雇用を一時的雇用、30日を超える雇用を恒久的雇用と分類することもあります。

 

[ 雇用契約の終了]

無期雇用契約の終了は、①事前通知を必要とする雇用契約の終了、②正当な理由に基づく事前通知を必要としない雇用契約の終了の2種類に分類することができます。

 

事前通知を必要とする雇用契約の終了

労働者と雇用者は以下のとおり、法定の勤続月数に応じた事前通知により、任意に雇用契約を解除することができます。ただし、雇用者は事前通知期間に対応する給与を支払うことによって、ただちに雇用契約を解除することができます。日本の労働法で厳しく制限されてい

 

るのに対し、緩やかな解雇基準であるといえます。

また、30名以上の従業員を抱える雇用者が、6カ月以上勤務した労働者との無期雇用契約を解除するには、合理的な理由が必要とされます。労働者の業務の効率性や必要性、職場での行動などがこの合理的理由に当たるとされています。やはりこれも日本の解雇基準に比べると、緩やかな基準であるといえます。

正当な理由に基づく事前通知を必要としない 雇用契約の終了従業員の健康上の理由、倫理道徳に照らして不適当と認められるとき、1週間を超えて労働者の業務を阻害する不可抗力事由(天災など)が発生した場合、これらは法定の正当な理由に当たるとして雇用者からの申し出により 雇用契約を解除することができます。

 

集団解雇

雇用者は企業の経済状況等を理由に、以下に該当する集団解雇を実施する場合には、少なくとも30日前までに所属する労働組合の代表とその支部、トルコ雇用機構(İŞKUR)に書面でその旨を通知する必要があります。1カ月以内であれば、これらは集団解雇とみなされます。

 

・ 20人以上100以下の従業員のうち、10人以上を解雇する場合

・ 101人以上300人以下の従業員のうち、その10%以上を解雇する場合

・ 301人以上の従業員のうち、30名以上を解雇する場合

 

İŞKUR への通知には、解雇の理由、解雇の人数、労働者の個別情報、解雇の日程等を記載する必要があります。この通知を基に、労働組合の代表と所属する労働者の間で話し合いが行われます。労働者に対する解雇の通知は、雇用者のİŞKUR への通知から30 日後に有効になります。

 

■ 労働協約

トルコ憲法により、トルコの労働者は 労働協約締結権とストライキ権を持っています。ただし例外として、公益事業、教育、石油、衛生、国防産業など生命や財産の保護責任がある公務員などにはストライキ権はありませんでしたが、2010年9月の憲法改正により、公務員も 労働協約締結権を持つことになりました。全従業員の過半数が加入する 労働組合は、労働者と 労働協約を締結する義務を負います。 労働協約は通常2年間有効です。 労働協約期間中に労使間で不和が生じたときには、労働者はストライキを起こすことができます。

一方、雇用者も経済社会状況に合った労働条件を整えるために、 労働協約締結権を持っています。また、トルコストライキおよびロックアウトに関する法律(法律第2822号)、 労働組合および団体交渉に関する法律(法律第6356号)によって、雇用者にはロックアウト(事業所閉鎖)の権利が保障されています。ロックアウトとは、雇用者が 労働争議発生時に事務所、工場、店舗などの作業所を一時的に閉鎖して労働者の就業を拒むことで、労働者によるストライキなどの争議行動に対抗する一手段です。

 

■ 就業規則

日本とは異なり、トルコの労働法には就業規則の作成義務について規定する条文はありません。しかし、大企業になると 就業規則に当たる社内規則を持っているところも多いようです。また、 就業規則がない場合でも、超過勤務をさせるときは、事前にその予定を労働者に告げていなければなりません。 就業規則を作成する場合には、憲法、トルコ労働法に準拠した内容である必要があります。

 

以上です。

 

 

今週も、どうぞよろしくお願い致します。

 

高津 幸城

 

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