シンガポールの支払方法:小切手

シンガポールの支払方法は小切手

日本よりもずっと発達したカード社会のシンガポールにあって、意外や意外、いまだに紙に金額を記入して手渡しする小切手(Cheque)の文化は幅広く残っています。

 

日本企業をはじめとするシンガポール法人でも、当座預金からの支払いを小切手のみで行っている企業は多くみられます。

 

銀行口座を開いて「決済に小切手を使う」を選択すると、ポンと渡される小切手の冊子。いったいどうやって記入すればいいか、戸惑う人は少なくないはずです。

 

今回は、「そんなの基本だよ」と分かったつもりになっている方にも確認の意味で読んでいただけるよう、シンガポールの代表的銀行、DBS銀行を取り上げて、正式な小切手の切り方をお伝えします。

 

 

受取人指定欄

 

自社の社員の給与支払いなど、個人に宛てるものを除いて、通常の小切手は取引先の会社の正式名を記入して発行します。

 

会社の名前が書かれる場合、原則としてはその会社の社員であれば誰でも、銀行窓口で小切手を現金化できるというルールです。

 

額面金額の受け取り方制限

 

ただし、会社名のみを記載した小切手の場合、拾った人ならだれでも送付先会社の社員を名乗って現金化できてしまうことになり、万一落としてしまった場合などの不安が残ります。

 

こうしたリスクを避けるために、現金化する担当者の名前を書いたり(送付先が自ら書き加えることもできます)、現金化を禁じ、会社口座への入金のみに制限することができます。

 

具体的には、金額の上の「or Bearer」と書かれた部分に横線を引いて代理人による現金化を禁じ、さらに左上の銀行ロゴの部分に二十斜線を引いて口座入金のみに制限することになります。

 

直接手渡しする場合を除いては、会社口座への入金のみに制限するのが一般的です。

 

日付欄

 

日付は日、月、年をそれぞれ2桁でこの順に記載します。

 

基本的には、未来の日付になっていなければ有効とされます。

 

金額の書き方

 

シンガポールの銀行では、シンガポールドルのほか、米ドル建ての口座を持つ場合も少なくありません。

 

いずれの場合も小切手には数字記入欄にはカンマ付きのアラビア数字で記載しますが、小数点以下2桁の「セント」まで記入する必要があるので、忘れないようにしましょう。

 

なお、インド系の表記方法では10万(ラック)、1000万(クロール)といった位取りでカンマをつけますが、シンガポールではこの位取りも有効とされています。

 

小切手で少しだけ注意を要するのが、英単語で金額を文字書きする欄です。

 

まず、シンガポールドル(Singapore Dollars)という言葉は記載されているので、小数点までの額面金額を文字に起こします。

 

大文字であっても小文字であっても有効とされていますが、正式にはすべて大文字か、少なくとも各単語の頭文字を大文字で綴ります。

 

小数点以下がなければ、最後に「ONLY」とつづってその右に横線を引きます。いずれも、金額が書き加えられないようにするための風習であり、忘れても問題はありません。

 

小数点以下の金額がある場合は、「CENTS FIFTY」などと綴ったうえで「ONLY-」を加えます。「FIFTY CENTS」という語順でも問題ありません。

 

サイン欄

 

小切手の発行は、登録銀行で署名者登録をした人のみに可能であり、本人確認はサイン欄の署名で行われます。

この署名はシンガポール政府役所における場合と異なり、パスポートサインとは別に自由に設定することができます。

 

 

裏面

 

小切手の裏側は送付先及び銀行関係者の記入欄となりますので、基本的に発行元では何も記載する必要はありません。

 

何に対する支払いであるのか明示するために、インボイス番号などを記入する場合には、銀行口座番号記入欄の下に小さくメモ書きするといいでしょう。

 

受け取った側が口座入金を希望する場合には口座番号、会社名(または担当者名)、電話番号を記入し、入金先口座のある銀行の「Cheque Box」に投函すれば入金されます。

 

入金のタイミングは細かく規定されていますが、大まかにいえば、13時までに投函されたものは翌営業日の14時過ぎに入金され、それ以降に投函された場合は翌々営業日の14時以降の入金となるというルールです。

 

間違いの訂正

 

小切手の記入時にうっかりスペルミスをしてしまったような場合は、契約書の類と同様に、横線で誤りの部分に線を引き、横に登録のサインを書き込めば、訂正することができます。

 

ただし、正式な書類として取引先に送るものなので、少しでもミスをしたら、そのページは破棄して新たなページで書き直した方がいいでしょう。

 

 

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