フィリピン初級者向けQ&A① 源泉税について

税務

 

こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

今週から複数週にわたって、フィリピン初級者向けの会計税務・法務・人事労務に関するトピックを取り上げてブログを綴らせて頂こうと思います。内容はフィリピンに進出したてや進出検討中の方々からよく頂くご質問を予定しています。極力複雑な部分には踏み込まず簡潔な内容を心がけていくつもりですので、初級者の方でもお時間のある時にご一読頂ければ幸いです。

 

Q. 源泉税(Withholding Tax)とはなんですか?

 

→源泉徴収税の略称で、サービス等の買主が売主に対して支払う対価から、あらかじめ税務署に納付する金額を差引いて(源泉して)納める税金のことです。源泉税の徴収義務はサービス等の買主側にあり、申告納付が漏れると罰金の対象になるので注意が必要です。

 

源泉税には拡大源泉税(Expanded Withholding Tax)と給与に関する源泉税(Withholding Tax on Compensation)がありますが、ここではフィリピンにおける居住法人に関する拡大源泉税について例を挙げて説明をさせて頂きます。

 

(例)コンサル会社である弊社が顧客であるA社(フィリピンの居住法人)にコンサルティングサービス(1,000PHP)を提供した場合。

 

  1. 弊社からA社に対して、1,000PHP請求(※説明の便宜上、ここでは付加価値税は省略させて頂きます)。
  2. A社からコンサル料(プロフェッショナルフィー)にかかる源泉税15%を控除した850PHPの支払。及び源泉徴収した150PHPに関するBIR form 2307の発行。

 

※BIR form 2307は源泉徴収票で、源泉徴収した金額について買主から売主に発行する証書です。売主はこの証書をもらうことによって、源泉徴収された150PHPを将来の法人税から控除する権利を得ます。

 

親切な会社であれば、1の請求時に適切な料率の源泉税額を控除した額を顧客に請求するのですが、一部フィリピンのローカル企業は源泉税を控除されるのを嫌うことがあり、不親切に源泉税の料率や金額を記載しないで請求書を発行することがあります。この場合にも、源泉税の徴収義務は買主にあるので、源泉漏れは買主のリスクになることがあります。

(※フィリピンに居住していない外国法人がサービス等の買主の場合には、源泉徴収の義務はありません。)

 

フィリピンにおいて源泉徴収の対象は幅広く設定されているため、詳細は専門家にご確認下さい。主要なところですと、①オフィスやコンドミニアム、社用車等の賃貸契約にかかる源泉税(5%)、②コンサルティング等のプロフェッショナルサービスにかかる源泉税(15%。※ただし、年間の所得が72万PHPを超えない場合には10%)、③下請けサービスにかかる源泉税(2%)が挙げられます。

 

日本では個人事業主の方がこのような源泉税の対象になりますが、通常の法人では対象にならないため、なじみの薄い制度になっているようです。

 

ちなみに、拡大源泉税の申告は翌月10日が締め切りとなっており、申告フォームはBIR form 1601E(通称1601E)というものになっております。これに対して、従業員の方の給与に関する源泉税の申告フォームはBIR form 1601C(通称1601C)となっており、申告期限は同じく翌月10日になっております。

 

今週も、どうぞ宜しくお願い致します。

 

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