メキシコの工事契約(Contrato Obra)における会計処理の留意点

 

0.はじめに
日本では、建設等の長期にわたるプロジェクトにおいては、工事進行基準や工事完成基準といった会計処理を行うのが一般的ですが、それをメキシコでも適用させる際にメキシコのFactura等によって少々困惑する場合が御座います。
メキシコにおいても工事契約の会計処理に関する基本的な考え方は、日本と同じようになっておりますが、メキシコ会計士によっては、間違った処理を行うケースも御座います。
今回は、メキシコにおける工事契約の留意点をご紹介します。

 

1 参考文書
メキシコの工事契約に関しては、会計、税務でそれぞれ下記の文書にて定められております。

 

工事契約に関する益金算入に関して
・・・メキシコ所得税法(Ley de Impuesto Sobre la Renta)17条
工事契約に関する損金算入に関して
・・・メキシコ所得税法(Ley de Impuesto Sobre la Renta)30条
工事契約に関する会計処理について
・・・INIF  D-7、14

 

2 益金算入について
工事完成基準を適用させる場合は、Facturaによって売上を計上させるタイミングを管理しやすいのですが、工事進行基準を適用させる場合は、やや注意が必要となります。
メキシコでは、工事契約に定められる期間に対し見積もりが行われ、見積もり金額の請求が承認され、3ヶ月以内に支払われる場合、承認された日に益金を認識致します。
但し、支払いが3ヶ月以内に行われない場合、見積もり金額回収時に益金として認識するか、3ヶ月毎にその進捗分を益金算入させる事となります。
3ヶ月毎に進捗分を益金算入させる場合、工事進捗度の計算は、日本と同じように原価比例法が使用されます。

 

3 損金算入について
工事進行基準における損金算入は、工事又は役務提供における直接費及び間接費の推定支出金額を損金算入させることとなります。
但し、年度末において工事又は役務提供の損金合計係数を計算しなければなりません。(損金合計係数とは、益金に対する損金の割合です。)
この係数を過去と当年度において比較し、当年度の方が低かった場合、最も低い係数を適用し、過去分から修正進行が必要となります。この比較の結果、年度末の損金合計係数が、例年よりも5%以上低かった場合、追徴金(los recargos)を支払わなければなりません。

 

以上が、メキシコでの工事契約における税務面からの留意点となります。
次回において、より具体的な会計処理等をご紹介させて頂きます。

 

 

株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
渡辺寛

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