土地譲渡①基本的な流れと書類

法務

 

いつもお世話になっております。東京コンサルティングの早川でございます。近年、日系企業の製造業様の進出は波が落ち着き、既存の企業様の事業規模拡大スピードも、かつての進出ブーム時よりは落ち着きました。

「設立当時、大規模な事業を見込み土地を買ったが、使っていない土地がある」という状況の方も多く、その土地の維持費(土地・建物税)だけがかかってしまっているというのが共通のお困りごとのようです。土地を売却するなら売却するで、すぐに行ってしまうのが一番良いのですがその流れを把握しておかなければ障害が出ます。というわけで、今回は基本的な土地譲渡流れを、書類とともにご紹介してまいります。

 

まず、土地の売り手は、「土地利用権(HGB/Hak Guna Banfunan)」という書類をお持ちのはずです。インドネシアには一口に「土地の権利」と申し上げてもいくつがございますが、ほとんどの日系企業様の場合HGBをお持ちかと存じます。さてこのHGBを売るための土地譲渡契約書を二者間で結ぶのですが、その際の金額を買い手側は前もって検討します。
この時の評価額は、基本的に専門(現地)の土地評価人によって行われ、一般的にはそれに譲渡価格として上乗せして取引します。

 

交渉で額が決定したらいよいよ譲渡契約書の締結です。契約書を作成し、その後譲渡証書(AJB/Akuta Jual Beli)を別途作成する場合と、譲渡証書作成のドラフトに両社がサインすることでAJBが譲渡契約を兼ねるパターンがございますが、後者の場合、サイン原本は公証人が保管することになりますので、サインを両者が手元に保管しておきたい場合は、前者を推奨いたします。

あとはこの譲渡証書/譲渡契約書を当局に提出すれば、HGBの権利者は買い手側に無事に移るのですが、その際、当局に求められる書類が他にもあるため、基本的には公証人がそれらの書類を確認する役割を担います。

 

特に署名が必要となるのは譲渡契約書くらいなのですが、例えば買い手もしくは売り手が個人の場合、その方の配偶者から、土地譲渡取引を認める、という旨のレターを作成していただき、署名していただく必要がございます。 これは、インドネシアでは配偶者の資産は共有財産となり、特に土地や株式は、取得する際、そして手放す際に、配偶者の方からも許可を得る必要がございます。

 

ご参考になれば幸いです。次回も「土地譲渡」をテーマに、それに伴う税金についてお伝えいたします。

 

 

東京コンサルティングファーム
早川 桃代

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