~PE認定課税について①~

税務

皆さん、こんにちは。

チェンナイ駐在員の中村です。

 

移転価格税制とPE認定課税は海外子会社を持つ多くの企業の懸念点だと思います。

定義を確認すると、移転価格税制は「グループ企業間取引において、価格操作を行う事で不当に利益を他国に移転することを防止する税制」、PE認定課税は「PEが存在しない国において、PEが存在するものとして課税が行われる」となります。

PEとはPermanent Establishmentの略語で、日本語訳では恒久的施設になります。一般的に「PEなくして課税なし」という考え方が、事業所得課税の国際的なルールとなっていますが、特定の要件を満たす場合は事務所を構えていない場合でも、PEがあるものとみなされて課税されます。移転価格税制は過去のブログで触れたことがあるので、本日はPE認定課税について執筆したいと思います。

 

国内法や租税条約、OECDモデル条約によると、PEは主に支店PEと建設PE、代理品PEの3つの種類に分類されます。

支店PE・・・支店、出張所、事務所、工場、倉庫業者の倉庫、鉱山・採石場等

(ただし、資産の保管・購入が目的の場合、情報提供・市場調査など事業の補助的活動の場合は支店PEとはみなされません。)

 

建設PE・・・据付、建設、組立などの建設作業等のための役務提供で、1年を超えて行う場合

 

代理品PE・・・物理的にPEを有していないが、非居住者や外国法人のために代理人が事業活動を行っているとみなされる場合

 

今回は支店PEについて詳述していきます。

支店PEかどうかの検討では、「事業を行う一定の場所があるかどうか」を見ます。

事業を行う一定の場所とは、

A 企業が自由に使うことのできる建物や機械などの設備を有する事業の場所

B 事業の場所が一定

C 外国企業の事業がその場所を通している

 

と定義されます。これだけでは掴みどころがないので具体例をあげましょう。

 

日本企業の営業マンがインドの得意先のオフィスを定期的に訪問するケース

インドの得意先オフィスは日本企業営業マンが自由に使うことのできる場所ではないため、要件Aを満たしていません。従って一般論ではPEとみなされない、ということになります。

 

一方で例えば、日本企業がインド企業を新たに買収して、両者で締結した契約要項を遵守することを確実にするために日本人がインド企業に駐在している場合は、日本人は日本企業に関連した業務を行っており、インド企業には日本人が自由に使える場所が設けられている、また一定の場所という要件も満たされているので、日本企業はインドに支店PEを有しているとみなされることになり、支店PE内での活動によって産出された利益に対してインド国で所得税が課税されることになります。

 

本日は以上です。

 

Tokyo Consulting Firm Private Limited

チェンナイマネージャー

中村 匠吾(なかむら しょうご)

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