インドにおけるプロジェクトオフィスの取り扱い

法務

みなさん、どうもこんにちは。増田です。

今週は、インド進出形態の一つであるプロジェクトオフィスについて書きたいと思います。

通常、海外で拠点を設けて進出となると、最初は駐在員事務所で様子を見て、その後支店や現地法人を立ち上げるという形が一般的です。しかし、単発の大きな案件が発生した場合など、継続して現地で事業を行う前提はないが、活動拠点を設置する必要があるような場合に、インドでは「プロジェクトオフィス」という形態での進出を選択することができます(国によってはこのような概念が無く、短期間であっても正式に支店・現地法人を設立する必要があります)。

業種としては、建設・インフラ関係での進出がほとんどです。例えば、国のインフラ事業で高速道路やダム、橋梁の建設などの大規模プロジェクトから、企業間でも長期にわたる施設建設などの案件によるプロジェクトオフィスの設置などもあります。ただし、企業間取引の場合には、一般的な施設建設などではなく、建設に際して特殊なノウハウが必要な施設・設備などのケースの際にプロジェクトオフィス設置という選択肢が取られます。

設立の手順としては、インド国内におけるプロジェクト契約の締結後に、インド準備銀行(RBI)の事前認可(個別承認)を得た上で、RBIに対して所定のフォームと各種添付書類(本社の登記簿謄本、本社の財務諸表、プロジェクトに関する契約書の写しなど)を揃えて提出し、申請を行います。RBIからの許可証が発行された後、会社登記所(ROC)への設立登記、口座開設といった流れになります。
ただし、プロジェクトに関して締結された契約内容につき、以下の4つの要件を満たしている場合には、原則としてRBIへの個別承認が不要となり、比較的容易にプロジェクトオフィスの設置を行う事ができます。

①プロジェクトに必要な資金が、インド国外からの送金で賄われること
②プロジェクトに必要な資金が、国際金融機関(世界銀行やアジア開発銀行等)から賄われていること
③当該プロジェクトが、インドの関係当局から認可を得ていること
④プロジェクトの支払について、インドの公的金融機関や銀行との間で返済期限付きの融資を契約していること

その他、プロジェクト事務所の特徴としては、以下のような点が挙げられます。

・あくまでも期間限定でのプロジェクトを行うための形態。よって、プロジェクト終了後は閉鎖の必要あり。
・プロジェクトのための活動拠点であり、プロジェクトに関わる業務以外の活動を行うことはできない。
・プロジェクト事務所運営のための資金は、海外からの資金送金が前提であり、プロジェクトにかかわる運営資金はすべて本社からの送金又は国際金融機関からの借入による調達のみで、インド国内の銀行からの借り入れは認められていない。
・税務上は「外国法人」として取り扱われ、所得に対して42.024%(法人所得税の実効税率)が課税
・税引後の利益送金自体は可能だが、RBIへの事前申請が必要。

注意点として、上記のとおりプロジェクトオフィス形態の場合には当該プロジェクトに関わる業務以外を行うことは出来ないため、もし仮にインドにおいて駐在員が営業活動等を行っているような場合には、税務当局よりPE認定の指摘を受けるリスクが発生します。

上記特徴などから、販社形態やメーカーなどには関わりの無い形態といえますが、建設業など、限られた期間で大きな金額が動く取引がインド国内で発生するようなケースであれば、非常にメリットのある形態といえます。

<余談>
インドのIncome Tax Department(税務局)のサイトを開いたところ、以下の注意文が出てきました。

The Income Tax Department NEVER asks for your PIN numbers, passwords or similar access information for credit cards, banks or other financial accounts through e-mail.
The Income Tax Department appeals to taxpayers NOT to respond to such e-mails and NOT to share information relating to their credit card, bank and other financial accounts.

日本で言う、「振り込め詐欺(又はフィッシング?)」のようなものですが、どこの国でも、同じような事を考える人間がいるのか、それともどこかの国の人間が組織的に世界中で行っているのか……。みなさん、お気を付け下さい。

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