強まる人民元の影響力

こんにちは、中国・上海の小林です。

今日は、中国の通貨「人民元」が国際経済への影響力を着実に増している点について、簡単に解説いたします。

人民元は、2005年の固定相場制からの管理フロート・通貨バスケット制への移行、また2009年の人民元建て貿易決済の解禁などを経て、急速に世界経済への影響力を強めていきました。

ところが、一方で海外投資者や企業・個人が人民元を獲得する手段は貿易や中国からの対外投資によるものに限られ、人民元建ての債券購入や預金は香港以外は原則禁止され、また中国A株市場への外国投資家の参入が規制され、実態として海外流通は停滞しているといえます。

このような海外向け人民元(オフショア人民元)の活用に一石を投じる変化が、昨年11月の人民元適格外国機関投資家(RQFII)制度です。これは、政府の認定を受けた機関投資家が、A株市場も含めて中国本土のすべての証券市場に参入を認める制度です。RQFIIをとして外国人投資家が中国国内の株式を人民元建てで取引することができることになったわけです。

また、先月には適格有限責任外国人組合(RQFPL)制度に基づき、中国の非上場企業の株式を外国人投資家が保有することを認める新制度をスタートしました。まずは上海をパイロット都市として、オフショア人民元を利用した投資が解禁される予定となっています。
また、中国政府はRQFIIの対象となる機関投資家の範囲を拡大し、上限額も引き上げる方針であるとの報道もあります。

アメリカの金融危機や欧州経済危機などもあり、世界の基軸通貨の勢力図は変化しつつあります。また、今後50年はアジアに金が集まるとも言われており、その中で中国が人民元の開放を通してその影響力を高める狙いであるといえます。

以上です。

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