カンボジア法人税 ・その1

皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。
今回は「カンボジア法人税・その1」についてお話しします。

 

カンボジアの中規模納税者以上は、会計年度末(通常12月31日)から3が月以内に年次税務申告を行う必要があります。カンボジアでの法人税率は通常20%となっていますが、適格投資プロジェクト(QIP)の適用を受けている企業は0%となります(申告は必要です)。

今回は、課税所得の計算について見ていきましょう。
課税所得の計算は、会計上算出した利益額に対して個々の収益が、税務上も収益として益金の額に含める(益金算入)か、含めない(益金不算入)かの判断を行います。同様に費用についても損金の額に含める(損金算入)か、含めない(損金不算入)かの判断が非常に重要な点となります。

・益金計算
益金の範囲は、事業活動から生じたすべての収益に加えて、企業を清算する際に発生する収益も含んだ、様々な活動の結果から得られる収益となります。また事業活動と関係のない試算の売却などの財務活動又は投資活動から得られたキャピタルゲイン、利息、賃貸収入なども益金の額に含まれます。

・損金計算
損金の額の範囲は、原則として事業を運営する上で発生した原価・費用・損失の額とされますが、損金算入額に一定の制限があるものや、全額が損金算入できない費用もいくつかあるため注意する必要があります。

・減価償却費
事業の遂行上で使用される土地を除く資産に係る減価償却費は、税法に定められた償却率・償却方法に従って計算された範囲内で損金の額に算入することが認められています。償却可能資産は以下のように分類され、資産分類ごとに定められた償却率で償却されます。

Class 1:建物および構築物
5%定額法(20年定額法)

Class 2:コンピュータ、電子情報システム・ソフトウェア、およびデータ処理装置
50%定率法

Class 3:自動車、トラック、事務所器具及び装置
25%定率法

Class 4:工場用機械などその他のすべての有形資産
20%定率法

期中に追加取得した資産の減価償却費は、月割りの償却計算を行わず1年間分の償却計算を行います。QIP企業で免税を受けない選択をした場合、生産や加工に関わる有形固定資産の40%の特別償却が認められます。これは取得1年目のみ認められていますので、2年目以降は上記の分類及び償却方法に従わなければなりません。

無形資産については耐用年数に応じた償却率によって償却することができます。無形資産には創立費及び開業準備費、研究開発費、特許権、著作権、商標権、及びコンピューター・ソフトウェア、営業権などが該当します。無形資産の耐用年数を合理的に見積もることが困難である場合は、税務上、定額法により10%の償却率を用います。天然資源の調査及び開発費用(利息を含む)は資産に計上し、当該資源の見積り合計生産量に基づく生産高比例法により償却しなければなりません。

・役員報酬
役員報酬は、金額的合理性のある範囲内で損金の額に算入することができます。

・支払利息
支払利息は、会社が受け取る受取利息と純利益(受取利息・支払利息考慮前)の合計の50%を上限として、損金の額に算入することができます。

・ビジネスに関連しない個人的な支出
ビジネスに関連しない個人的な支出は基本的に損金算入することができません。またフリンジベネフィット税20%が課税されるため、法制度上、損金算入しないがゆえの事業所得税20%と合わせて40%の税金が課税され、二重課税の状況になっています。

・寄付金
寄付金については、特定の組織に支払われた寄付金のうち、寄付金損金算入前の課税所得の5%を上限として損金の額に算入することができます。

・交際費
娯楽、レクリエーション、得意先の接待のために要した費用などは、一切損金に算入することはできません。

・その他の費用項目
その他、関連会社間での資産の売買・交換により発生した損失や、税務上のペナルティ(追徴課税、加算税及び延滞利息等)については、全額損金の額に算入することはできません。

・繰越欠損金の控除額
所得金額の計算上、欠損が生じた場合には、発生した課税年度以後5年間の繰り越しが認められています。5年を超えて控除しきれなかった部分の金額については、残額が切り捨てられることになります。ただし、繰越欠損金が残る状態で株主変更等を行うと、繰り越しが認められなくなるので注意が必要です。

今週は以上になります。

 

株式会社東京コンサルティングファーム

カンボジア拠点

西山 翔太郎

 

 

 

 

 

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