バングラデシュで従業員を雇用する際の留意点~個人所得税(Individual Income Tax)編~

労務

 

バングラデシュで従業員を雇用する際には、雇用契約書(Appointment Letter)を用意し、雇用契約を締結する必要があります。雇用後に雇用主と従業員の間で契約内容をめぐって認識のずれが生じるケースがあるため、予め雇用契約書上で、ずれが発生しそうな内容について明確にしておく事をお勧めします。今回は、バングラデシュにおいて問題になっている従業員の個人所得税についてご紹介します。

 

日本では、従業員個人が個人所得税を負担するという事が広く一般的に認識されていますが、バングラデシュでは個人所得税を支払うという概念がほとんどありません。個人所得税に関する法律は2013年から存在するものの、ほとんど形骸化されていました。しかし、2018年7月の税法改正により『個人所得税の納付と確定申告を行っていない従業員の給与については費用認識されない。』という文言が追加された事で、税務署が今後個人所得税の納付について厳しく見てくるという事が予想されます。

 

バングラデシュの税法上、年間課税所得額(総所得額ではない)が250,000BDTを超える場合は課税対象となります。
※女性の場合は、年間課税所得額が300,000BDT
従業員を雇用する際には予め個人所得税について説明し、雇用契約書内に個人所得税を従業員と会社のどちらが負担するのかを明確にしておく必要があります。

 

既に従業員と雇用関係にあり個人所得税の納付及び確定申告を行っていない企業については、個人所得税について説明し、長期的な視点から見れば可能な限り早めに個人所得税を個人が負担するという文化の構築が必要となります。最初は従業員に納得してもらえないケースが大半ですが、昇給のタイミング等で交渉しコンプライアンスを見直す事をおすすめします。

以上

 

 

 

 

Tokyo Consulting Firm Limited
齋藤かおり


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